え、日本唯一なの!?「ミノムシみたいな信号機」なぜ滋賀県に? “まるで外国”の形状にした理由とは
交差点の中央に吊り下げられる形で設置される、通称「UFO信号機」。全国には、まだ現役のものがごく少数残っていますが、滋賀県長浜市にあるものは、唯一無二の形をしています。現地で確かめてきました。
レトロモダンな町並みにマッチするようにデザイン
通常、信号機の赤・黄・青の3色の信号灯は横に並んでいますが、この信号機は3つの信号灯が縦方向に並んでいます。ゆえに、長浜の設備は「縦型UFO信号機」と呼ばれるのです。

外見も通常の信号機と違って装飾されており、全体のベースカラーは信号機では標準となっているグレーではなく、周囲の景色に溶け込む落ち着いた茶色で塗装され、信号機の上部には菱形の装飾と傘状のカバーが取り付けられています。これは設置場所周辺の黒壁スクエアのレトロな町並みに合わせるためだと思われます。
また、信号機を吊り下げているポールは可動式のヒンジ構造となっており、必要があれば交差点外に動かすことができます。これは、長浜市で開催される催事で、車高が高い山車が通行する際に邪魔にならないための仕様だそうです。
全国の道路に設置された信号機は、実はすべてが同じ規格というわけではなく、地域の事情や製造会社の違いによってデザインや仕様が異なっています。一般の人々が道路を行き交い信号機を目にしているときに、その違いを意識することはないでしょう。信号機は交通における空気のような当たり前の存在であり、そこに違いや個体差を感じることはないのです。
しかし、信号機にも時代に合わせた変化の歴史があります。消えつつあるUFO信号機も、社会の要望があったからこそ生まれたものであることは間違いありません。そういった意味で技術遺産ともいえるのではないでしょうか。
長浜にあるこの信号機が唯一無二の存在なのも、必要とされたからだと言えるでしょう。もし見ることがあったら、珍しい外見を楽しむだけでなく、その背景にある信号機の歴史にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
なお、設置場所はJR長浜駅からほど近い、観光スポット「黒壁スクエア」近くの交差点です。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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