ロシア戦略爆撃機インドネシアに駐留か? 候補の基地あるトコ「米豪の軍事拠点、スグ近くじゃん!」
2025年4月、インドネシアに対し、ロシアが自軍の戦略爆撃機を駐留させてほしいと打診したと、イギリスの安全保障系メディアが報じました。なぜロシアは遠く離れたアジアの非同盟国に白羽の矢を立てたのでしょうか。
プロペラ機だからといって侮るなかれ
2025年4月、イギリスの安全保障系メディア「ジェーンズ」が報じたところによると、ロシアがTu-95「ベア」戦略爆撃機の駐留をインドネシアに対して打診していたそうです。

候補地として挙げられたのは、ニューギニア島の至近にあるビアク島のマヌフア空軍基地とのこと。この報道に対し、インドネシア国防省は即座にこれを否定しましたが、ロシア側の意図、そしてその背後にある戦略的動機には無視できぬ重みがあると言えます。
なぜロシアは地理的にも文化的にも遠く離れたインドネシアに、戦略爆撃機を駐留させようとしたのでしょうか。
そもそもTu-95は、1950年代に旧ソ連が開発したプロペラ4発の大型爆撃機です。一見すると、プロペラ機のため時代錯誤のように思えるかもしれませんが、主翼は後退翼で、プロペラは二重反転式、組み合わされるエンジンはジェットエンジンの派生型であるターボプロップ式であり、最高速度は900km/hを軽く超えます。最大航続距離も1万5000kmと長大で、ジェットエンジン8発搭載したアメリカ空軍のB-52戦略爆撃機に匹敵する能力を持った機体です。
そのため、Tu-95は長時間の滞空能力を活かし、特にKh-101やKh-55といった長射程の巡航ミサイルを搭載可能です。その兵装は戦略核兵器のみならず、非核の精密誘導兵器にも対応しており、ゆえに敵領内にある目標を遠距離から無力化する「スタンドオフ」攻撃の担い手となっています。
注目すべきは、この機体が戦略爆撃機であると同時に、ロシアにとっては貴重な「海洋攻撃プラットフォーム」でもあるという点でしょう。すなわち、Tu-95はアメリカ海軍の空母打撃群に対して遠距離から攻撃を加えられる、ロシアが持つ数少ない対抗手段のひとつなのです。
では、なぜロシアはそのTu-95をインドネシアに展開しようとするのでしょうか。インドネシアはアジアとオーストラリア、太平洋とインド洋を結ぶ「海の交差点」に位置します。特に、南シナ海からインド洋へ抜けるマラッカ海峡は、世界の海上交易ルートの要衝であり、アメリカ海軍にとっても戦略的なポイントです。
この海上交通路を抑えられるところに航空拠点を持つことは、事実上、東アジアと南アジア、オーストラリアを分断する一手となります。ロシアはおそらく、極東の航空基地から発進するよりも、インドネシアに展開拠点を確保することで、アメリカ第7艦隊への間接的な圧力を高めようとしているのだと考えられます。
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