ジェット旅客機のエンジン、なぜ年々大きくなっている? 現行機には「もはや樽レベルにぶっとい」モノも

ジェット旅客機のエンジンは年を追うごとに、太く、大きくなっている傾向にあります。なかには、これで高速を出せるのかと思うほどの太さを持つものも。なぜこのようなことになっているのでしょうか。

「エンジン太くなる」とむしろ“ダイエット”に?

 ジェット旅客機のエンジンは年を追うごとに、太く、大きくなっている傾向にあります。2025年現在ではまるで樽のようで、これで高速を出せるのかと思うほどの太さを持つものも。なぜこのような形になっているのでしょうか。

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JALのボーイング777-300ER(乗りものニュース編集部撮影)。

 実のところ、この太くなったエンジンの搭載によって、ジェット旅客機は燃費と騒音の2つを減らす“ダイエット”に成功しています。ジェットエンジンがどれだけ太いか、それを示すといえる指標が「バイパス比」で、その値は近年、かつての10倍以上になっています。

 同じジェットエンジンでも、1950年代から60年代初期にかけて開発したものと現在のものを比較すると、外見を一目見て違いが分かるほど太くなっています。これは、エンジンの最前部に付くファンと呼ばれる「送風機」が大直径化しているためです。

 前述した「バイパス比」は、このファンと、「コア」と呼ばれる部分それぞれを流れる空気量の差を示し、値が大きくなるほどエンジンは一般に太くなります。ジェットエンジンの仕組みをごく簡単に示すと、吸い込んだ空気にコア部分で燃料を混ぜて燃焼・膨張させて高速で噴射し推力(推進力)を得ます。このため、日本では「ジェット」という単語が知られる以前は、ロケットなども一緒にして「噴推」(噴流推進又は噴射推進の略)と呼ばれてもいました。

「噴推」という言葉が死語になる以前、噴射のみで推力を得る「ターボジェット」と呼ばれるタイプがまず登場しました。これは旅客機にも使われていましたが、旅客機の飛行速度であるマッハ約0.9程度で飛ぶにはターボジェットは燃費が悪く、その問題を解消するべく生まれたのが現代の旅客機の主流である「ターボファンエンジン」です。

 これは、コアから発せられる高温高圧の空気と、「送風」のようにファンを経由した低温・低圧の空気、ふたつを組み合わせて推力を得る方式です。このことで消費する燃料が減りますので、ターボジェットより効率が良いほか、ファンから「送風」された空気が高温高圧の空気を覆うことになるため、騒音も少なくなります。

 ターボファンからターボジェットへ歴史的な事例を示すと、米国のボーイング707は最初ターボジェットのJT3を付けていましたが、1960年代初頭にファンを追加したJT3Dへ更新して飛ぶようになりました。そして、その後、より効率化を求め続け、バイパス比は大きく、つまり「『送風』の空気の割合が多くなるよう」な設計努力が続けられてきたのです。

 エンジンが太くなったのは、その「送風」の空気をより多く取り込むべく、大型のファンを取り付ける必要があるためです。

【写真】エンジンほっそ! これが今と大違いの「737初期タイプ」です

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