アメリカ版新幹線は「死刑宣告」 JR東海ら日本企業も受難 トランプ氏の徹底的な「鉄道いじめ」のナゼ

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、旅客鉄道への“塩対応”をあらわにしています。JR東海をはじめ日本企業も複数関わる高速鉄道計画も暗礁に乗り上げ、米鉄道業界は真っ暗なトンネルへと突入。背景には3つの理由があります。

「アムトラック・ジョー」が裏目に

 2020年の大統領選で共和党候補だったトランプ氏を破ったバイデン氏は、「アムトラック・ジョー」の愛称で親しまれたアムトラックのよき理解者でした。

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アムトラックの北東回廊を走る列車。バイデン前大統領が通勤に使った(大塚圭一郎撮影)

 バイデン氏は上院議員時代の36年間にわたって主力路線「北東回廊」で首都ワシントンと自宅のあるウィルミントンを往復約3時間かけてアムトラックの電車で通い、元乗務員は「乗務員や他の乗客に気さくに話しかけ、分け隔てなく接していた」と証言します。筆者の友人も「(ワシントンの)ユニオン駅の案内係で勤務していた際、バイデン氏に何度か激励された」と述懐します。

 アムトラックは1971年、マイカーや旅客機の普及で経営難に陥った旅客鉄道会社20社の事業を吸収して発足しました。慢性的な赤字体質に陥っており、2024会計年度(23年10月~24年9月)の最終的な損益を示す純損益は18億940万ドル(同約2687億円)の赤字でした。

 赤字を埋めている生命線が、連邦政府や沿線の州政府からの補助金です。バイデン氏はマイカーから鉄道への移行が地球温暖化防止に役立ち、マイカーを持てない人でも通勤しやすくなることで就労機会が広がり、さらに鉄道建設が雇用を創出すると訴えてきました。

大統領在任中の2021年11月に成立したインフラ投資法に基づいて、バイデン氏は鉄道インフラの改善に力を入れ、24年5月には鉄道へ総額660億ドルを振り向けると表明。これには高速鉄道の整備やアムトラックなどの既存路線のインフラ改善が含まれ、「アムトラック創立後の旅客鉄道への投資額としては最大になり、21世紀の国際競争を勝ち抜く」と意気込みました。

 対照的にトランプ氏は「地球温暖化は中国人が広めた『でっち上げ』だ」とうそぶき、2025年1月20日の大統領復帰初日に温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する大統領令に署名する有様です。温暖化に懐疑的なトランプ氏は二酸化炭素(CO2)排出量削減に役立つ鉄道の意義を理解しておらず、これが“塩対応”の2つ目の理由です。

【ここまで具体的だったのか…!】これが「アメリカを走るN700S」です(画像)

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コメント

2件のコメント

  1. 日本政府が円借款で金出せばいい

    C国に円借款で投資するくらいなら、

    米国に投資してもいいのでは…

    • 円借款は借金だから、トランプが受け入れますかね。