30年の歴史にピリオド「在日米軍版ブルーインパルス」消滅の理由はアメリカが国防戦略を見直すから
青森県の三沢基地を拠点に30年にわたって活動してきたF-16デモンストレーションチームが終焉を迎えました。「空の親善大使」としての役割を長年務め、日本の飛行機ファンにも親しまれていたのに、なぜ消えてしまうのでしょうか。
解散理由は在日米軍の戦力アップ!
アメリカ軍は戦力近代化の一環として、日本に駐留する航空戦力についても更新を進めています。山口県岩国基地には海兵隊のF-35Bと、空母艦載機のF-35Cが配備され、沖縄県の嘉手納基地は老朽化したF-15C/Dが退役して、代わりにアメリカ本土の部隊がローテーション配備されるようになっています。

三沢基地の第35戦闘航空団が機種更新するのもその一環であり、最終的には48機のF-35Aが配備される計画です。なお、最初の機体は2026年の春頃に到着するそうです。その受け入れ準備のため、現在配備中の2個飛行隊、計36機のF-16は、2025年夏以降に段階的な削減が始まり、F-35との入れ替えが進んでいく見通しです。
F-16デモチームが三沢を拠点として活動できたのは、第35戦闘航空団が多数のF-16を運用していたからであり、部隊再編に伴って解散するのは避けられない結果だったといえるでしょう。
最後のデモ飛行は基地内の非公開イベントとして実施され、目撃したのは基地関係者や、近隣にいた一部の飛行機ファンに限られました。公開イベントとしての最後の展示は、2025年5月17~18日に東京都・横田基地で開催された「日米友好祭」であり、約11万7000人の観客の前でフライトを披露しています。
なお、アメリカ空軍にはF-16の広報チームとして、ほかにもサウスカロライナ州ショウ空軍基地にF-16バイパーデモチームが存在します。こちらは今後も活動を続ける模様です。
こちらは、米本土のエアショーに参加するのがメインのため、日本でこれまでのようにF-16の派手な機動を見ることは難しいですが、デモンストレーション飛行自体は今後も見ることは可能です。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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