今どこ走ってるの…?新幹線「はやて」に乗った “斬新でスピード感ある“もと最速列車の不遇な半生

東北・北海道新幹線の「はやて」は、2002(平成14)年の東北新幹線八戸開業時に速達列車の名前として採用されましたが、2011(平成23)年の「はやぶさ」運行開始以降、運行本数を減らしています。そのレア列車に乗りました。

早朝「はやて」は何人乗ってた?

 ほどなく側扉が開放されたので、利用状況を確認します。列車は10両編成で全車指定席。外から見て、10号車グランクラスと、9号車グリーン車は乗客ゼロ。8号車4人、7号車3人、6号車8人、5号車7人、4号車ゼロ、3号車1人、2号車2人、1号車ゼロで、合計25人でした。利用の多い号車は「えきねっと」での割引で指定されていると思われます。

 予想はしていましたが、さすがにこの時間に北海道へ渡る人は多くないのでしょう。

「はやて91号」は定刻に新青森を出発しました。最高260km/hで疾風のように走る……わけではなく、220km/h程度で流して走ります。6時46分頃、速度がさらに落ちます。窓の外を見ると、線路のレールが3本に。新中小国信号場で在来線が合流したからです。三線軌条区間は地上部だと140km/hに制限されるため、在来線特急のようです。

 6時49分、奥津軽いまべつに停車します。新幹線で最も利用が少ない駅といわれることもありますが、5人が乗車します。

 6時51分、「青函トンネルに入りました」との案内表示が客室扉上の情報表示機に流れます。全長53.85km、海面下240mを通過するなど、トンネルの基本的な情報が流れました。

 かつて青函トンネルの途中に海底駅も設置されていたので窓の外を見ますが、見つけられないまま「はやて」はトンネルを出て、北海道に上陸します。外の植生が変わったように感じられ、海峡を渡ったことを実感しました。

 7時23分、木古内に到着し、1人が乗車します。ここまで降車はゼロ人で、全員が新函館北斗を目指すようです。

 木古内を出ると、少しの区間ですが函館湾が見えたり、函館新幹線総合車両所が見えたり……としているうちに、たちまち新函館北斗です。7時35分の定刻に到着。乗客の半数程度は改札の外へ、もう半数程度は函館行き連絡列車の在来線「はこだてライナー」に乗り換えました。

「はやて91号」の1時間2分の旅は、あっという間に終わりました。新青森~新函館北斗間は148.8kmですから、停車時間を含む列車の平均速度である表定速度は144km/h。新幹線としては「のんびり」した旅でした。

【早朝渡道】これが「はやて」の表示や車内、車窓です(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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