アメリカ製戦闘機もエンジンに泣いた!?「偉大なる凡作」と「WW2最優秀」の意外な共通点とは
第2次世界大戦中に多用されたアメリカ製戦闘機のP-40「ウォーホーク」とP-51「マスタング」。前者は「偉大なる凡作」、後者は「アメリカ最優秀」と評価は真逆ですが、大きな共通性をもっているそうです。
イギリス製に劣ったアメリカ唯一の液冷エンジン
飛行機用液冷エンジンの開発は1920年代頃から活発に行われるようになりました。当初はアメリカよりもイギリスやドイツの方が先を行っており、これらの国ではさまざまな液冷エンジンが造られています。特にイギリスのロールスロイス社が開発した「マーリン」エンジンは、有名なスーパーマリン「スピットファイア」戦闘機やデ・ハビランド「モスキート」攻撃機、アヴロ「ランカスター」爆撃機などに搭載された傑作液冷エンジンでした。

一方、アメリカもまた飛行機用液冷エンジンの研究を進めており、戦前にはアリソンV-1710エンジンを完成させていました。そのようななか、カーチスP-40戦闘機は、このエンジンを搭載しました。また、アメリカのノースアメリカン社で造られたP-51戦闘機にも、当初はこのアリソンV-1710が搭載されています。
第2次世界大戦の前後、アリソンV-1710はアメリカ唯一の実用液冷エンジンといってもよい存在でした。しかしアリソン社は規模が小さかったので、エンジン出力を向上させる過給機の開発が遅れており、アリソンV-1710には1段1速の過給機しか付いていませんでした。
これが原因で、P-40もP-51も低高度での性能は優れていたのですが、中高度以上では性能が急激に低下するという弱点がありました。そのため、特にP-40と初期のP-51の供給を受けたイギリスでは、両機を主に低高度域で戦う戦闘爆撃機として運用したほどです。
一方、イギリスは自国で拡大するマーリンの需要に対応すべく、アメリカで「マーリン」を生産し、それを供給してもらうという策を立て、実行します。このプランで白羽の矢が立ったのが、自動車メーカーのパッカード社でした。
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