自衛隊も買った! F-35戦闘機用の「必須装備」一見ただの筒 じつは新戦術に大貢献「パイロットの負担軽減にも」
パリ航空ショーの出展ブースに一本の巨大な筒が置いてありました。この筒、じつは昨今の戦闘機の運用構想の変化にとても大きく関係していているといいます。しかも最近、自衛隊も購入したとか。どんな使い方をするのでしょうか。
航空自衛隊も購入したと明言が
アメリカ空軍では、F-35Aで運用するために260個のMXU-1072/Aを導入しており、アメリカ海軍でも艦載型のF-35Cで使うために運用試験用として4個、調達しています。アメリカ海兵隊が使っているF-35Bについては、ウェポンベイの形状が異なるため、MXU-1072/Aを搭載することはできませんが、技術的にはB型に適応した新しいポッドを開発することはできるそうです。

実は、このポッドは単なる荷物入れではなく、アメリカ空軍が近年採用しているACE(機動的戦闘運用)と呼ばれる新戦略にも必須の装備です。ACEとは、特定の空軍基地が攻撃を受けた場合に備えて、小規模な部隊を一般空港や仮設拠点に分散展開させるという運用方法で、戦闘機を支援設備のない場所に移動させて活動させることもあります。
そのため、戦闘機自体にも運用に必要な工具や資機材を自機で運搬することが求められることから、MXU-1072/AはF-35にその能力を付与するための必需品だといえるでしょう。
なお、キホマック社によると、日本向けに10個のMXU-1072/Aを出荷済とのことなので、航空自衛隊のF-35Aでもこのポッドが使われることになる模様です。日本も中国や北朝鮮による弾道ミサイルや巡航ミサイルの脅威にさらされており、航空自衛隊もそれらによって基地が被害を受けることを前提として、ACEに準じた機動的な戦闘運用の導入を進めています。
航空自衛隊がMXU-1072/Aを導入したのも、その流れを象徴するものの1つといえるでしょう。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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