「こんなの見たことない!」と猛反対!? 通勤電車を改造した「走るホテル」の神髄“ふしぎな形の個室”誕生秘話 「面白い」でOKに
登場から5年を迎えるJR西日本の人気列車「WEST EXPRESS銀河」。最上級クラスの個室「プレミアルーム」には、デザイナーが「こんなのは見たこともない」と反対されながらも実現させた「強いこだわり」がありました。
あえて古い編成を選んだ理由とは
117系のどの編成を改造するかは川西さんにゆだねられ、当時は数々の編成が止まっていたJR西日本の車両基地「岡山電車区」(岡山市)で選ぶことになりました。初期型の「0番台」と、1986年製造の「100番台」がある中で白羽の矢が立ったのは、80年製の0番台でした。

川西さんはあえて古い編成を選んだ理由として2つの点を挙げました。1つは台車で、「100番台は(空気ばねを使って構造を簡素化した)ボルスタレス台車の初期の製品を履いており、ベテラン社員から『ぼよんぼよんと揺れる』という声を聞いたため、それならば特急用車両と同じ台車だった0番台の方が良いだろうと思った」と解説します。
そしてもう1つの理由は、「プレミアルーム」を広く確保するためには0番台のレイアウトの方が適していたためでした。川西さんが117系の客室に並んでいた転換クロスシートを取り払って設置したのは、上から見ると通路を挟んで「三角定規」のような個室が並んでいる空間でした。
本当は片方の窓側に延びる通路に沿って四角形の個室を並べると効率が良いものの、「三角定規のような部屋を並べることで、レール方向に広がる『流れる車窓』をデザインした」と言います。それを設計段階で提案したところ、JR西日本車両部からは「こんなのは見たこともない。効率が悪い」との反対意見が出たそうです。
これに対し、営業部門からは「面白いのではないか」との声が出たため、実際のモックアップで比較検討した結果「私の案をほぼそのまま採用していただけた」(川西さん)。また、ベッドにした時の位置を高くし、窓の下辺に合わせることで「ごろ寝の視点で流れる車窓を楽しめるようにしている」のもこだわりです。
歯車比が高めだから騒音がすると思いますがその音がノスタルジーで気持ち良い人もいます!