「航空大国ロシア」復権なるか 次々登場の新旅客機、その実力、そして勝算は
MS-21、すでに約300機を受注 しかしその実情は
こうした状況を打破し、ロシアが再び航空大国へと返り咲くための尖兵が「スーパージェット100」と、このたび登場したMS-21であるといえます。特にMS-21は、エアバスA320、ボーイング737によって完全に支配されている座席数150~200のナローボディ(単通路)旅客機市場へと乗り込みます。
MS-21の優位点は、まず主翼などに世界で初めて「真空樹脂含浸製造法」による「炭素繊維強化複合材」を使用したことです。従来の炭素繊維強化複合材は、炭素の糸でできた織物にプラスチックを浸透、硬化させるため「オートクレーブ」と呼ばれる巨大な圧力釜で熱処理をする必要がありましたが、真空樹脂含浸製造法ではこれが不要となり、工数を大幅に削減できます。
さらに双発搭載するエンジンに、アメリカのプラット・アンド・ホイットニー社製PW1000Gを選定。PW1000Gは三菱航空機のMRJにも搭載されている、非常に燃費効率に優れた「ギヤードターボファン(GTF)」エンジンです。
MS-21はこうした先進的なテクノロジーの採用によって、初飛行前ながら175機の確定受注を含む、およそ300機のオーダーを得ることに成功しています。
しかし問題は、これらの受注はもっぱらロシアのエアラインまたはリース会社で占められているということです。今後、外国へのセールスが大きな課題となります。
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