歌にもなった無人攻撃機「バイラクタル」最新型は空母向け! 開発の裏には「アメリカとの亀裂」いったい何が?
2025年6月に開催されたパリエアショーでトルコの最新型無人攻撃機が展示されました。特徴は主翼が降り畳める点で、これは軽空母などでの運用を想定したからです。ただ、この裏にはアメリカを怒らせた要因が影響していました。
アメリカ怒らせた? 軽空母用の無人機が生まれたワケ
軽空母に搭載できる艦載型無人機というのは世界的にみても珍しい存在だといえます。バイカル社はなぜそんな特徴的な機体を開発したのでしょうか?

じつはアナドル級強襲揚陸艦は、当初はアメリカのF-35B「ライトニングII」戦闘機を搭載することを想定していました。しかし、トルコがロシア製の地対空ミサイルS400を導入したことで、アメリカ政府は同国へのF-35の売却を凍結。結果的に乗せる艦載機がないままにアナドル級だけが完成してしまったのです。
そこでバイカル社が、F-35に代わる艦載機として、TB2をベースに艦載機としてリリースしたのがこのTB3でした。
外見上の1番の特徴である折り畳み式の主翼は、狭い艦内でも運用可能にするためのものです。また、STOL(短距離離着陸)性を有していることから、固定翼機ながらもカタパルトやアレスティング・ワイヤーを使わずアナドル級の飛行甲板から発着艦が可能です。さらに、AI制御によって、発艦はもちろんのこと、有人艦載機では技術的に困難とされる着艦作業も完全自動で行えるそうです。
最大離陸重量もTB2の倍となる1450kgとなり、武装も従来の軽量な対戦車ミサイルだけでなく、より威力の高い精密誘導爆弾が運用可能に進化しています。会場にはTB3に搭載できる新しい小型巡航ミサイル「ケマンケシュ1」も展示されており、同機の搭載兵装の多さと、攻撃機としての能力の高さがアピールされていました。
無人機にとって重要となる通信機器についても、TB2はLOS(見通し内伝播)通信機能しかないため、遠隔操作する地上操作ステーションからそう遠くない一定距離の範囲内でしか運用できませんでした。これがTB2の運用上の大きな弱点といわれていましたが、それに対してTB3は、衛星通信にも対応したことで地上操作ステーションからより離れた距離まで飛行できるようになっています。
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