今の仮面ライダーに似すぎのバイク!? テレカの時代に“カードキーで動く” ヤマハのスゴいコンセプトモデルとは
ヤマハが1991年に発表したコンセプトモデル「MORPHO II」は、34年前に想像された未来のバイクです。仮面ライダー風の外観と専用カードで動く仕組みを持つこのバイクは、今の時代を予見したような革新的なアイデアが詰まっています。
マシンとライダーが意思疎通できる!?
なかなか斬新なのが、このカードキーを差し込み、各ボタンを押すことで始動だけでなくライディングポジションを変更させることができるという点です。さらに、「マシンとライダーが意思疎通を深化させることができるインターフェース」も備えています。

ライダー「もしもしMORPHO II。今日の俺、ちょっと疲れているからどれくらい運転できるかわからないんだよね」
バイク「ソウデスカ。ナラ20キロクライ走ッテ、今日ノ移動ハ終ワリニシマショウ」
……「マシンとライダーが意思疎通を深化させるインターフェース」とは、こういうことなんだろうと推測できますが、今日のAI時代を考えれば、あながち的外れな未来予測ではなかったようにも感じます。
「生きもののようにも感じるマン・マシンの親和性」
また、見た目は仮面ライダー的でもある「未来のバイク」ですが、実は「人とバイクのあり方」について深く考えられたモデルでもあったようです。MORPHO IIの実車を展示するヤマハ発動機コミュニケーションプラザのギャラリーでは、以下のような紹介分が添えてられています。
「マシン自らが自身の状態をセンシングしたり、人工知能(AI)を介してライダーとのコミュニケーションを深め合うなど、まるで生きもののようにも感じるマン・マシンの親和性は、30年以上が経過した今も続く研究領域の一つです。また、ライダーのみならず、対人の安全にも配慮したソフトマテリアルパーツの提案は“自利利他”の思想にも通じる当時としては極めて新鮮なメッセージとして受け止められました」(展示より)
現在のバイクは、35年前にヤマハが想像したMORPHO IIのようなものにはまだ到達していません。しかしながら、開発コンセプトのいくつかは、決して「未来予測が大ハズレだった」と言い切れず、なかなか興味深く映ります。
その後もヤマハは、知能を持つ生物のようなマシンとして、2017年には東京モーターショーのコンセプトモデルの「MOTOROiD」を発表するなど、同様の領域の研究を通じ、しばしば人々を驚かせています。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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