ここ東京メトロ?都営?「どっちもです!」な区間とは 首都圏“複雑すぎる直通運転網”の象徴的な「カオス駅」の不思議
異なる鉄道事業者の電車が相互に乗り入れる「直通運転」。鉄道事業者の境界となる駅では、そこだけで見ることができる興味深い光景が広がっています。
東京メトロ線に、都営きっぷで乗れる?
ところで、目黒駅は東急・東京メトロ・都営地下鉄の境界駅なので、コンコースには各事業者の券売機と運賃表が並んで設置されています。では、共用区間の白金台と白金高輪の2駅はどのような扱いなのでしょうか。
東京メトロの運賃表は、2駅とも当然ながら通常通りの初乗り運賃である180円が表示されています。
一方の都営地下鉄の運賃表も、白金台と白金高輪の2駅が表記されており、運賃も180円としっかり記載されています。東京メトロの線路なのに、都営地下鉄のきっぷでも乗車できるのでしょうか。
答えは「できます」。目黒~白金高輪間に限っては、どちらのきっぷでも乗車できるのです。現在は交通系ICカードが主流ですが、紙のきっぷを購入する場合、「今日はどっちのきっぷで乗ろうか」なんて考えてしまいそうです。
ちなみに、東京メトロ千代田線とJR常磐線各駅停車が接続する綾瀬駅とは対照的な運用です。同駅は会社と行先駅によって販売しているきっぷが少し異なるのです。
では、交通系ICカードを使った場合はどうなるのでしょうか。実際にモバイルSuicaで目黒から白金高輪まで乗車したところ、SF利用履歴には東京メトロを表す「地」という記号が記載されていました。東京メトロの線路であることを考えると、これは予想通りといえるでしょう。
1面2線のホーム構造に加え、ほぼ全ての電車が直通運転のため、どちらかと言えば“途中駅”の印象の目黒駅。しかし、そこには境界駅ならではの光景がたくさん潜んでいるのでした。
Writer: 和田 稔(鉄道ライター)
幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。
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