後ろ姿に違和感!「変わりダネ商用車」廃れたのナゼ? オシャレで可愛かったのに

車体の前半部分は乗用車のまま、後半部分に大きな荷箱を設けたフルゴネットは、1997年にルノーが「カングー・エクスプレス」を発表するまで欧州で人気の商用車でした。そのようなフルゴネットを過去、日産とスズキでも商品化していました。

バブル期に日本メーカーもフルゴネットを製品化

 フルゴネットの利点は、冒頭に記したように乗車姿勢や運転感覚が一般的な乗用車とほとんど差がなく、初心者や運転に不慣れなドライバーでも操作の習熟が早い点が挙げられます。加えて、キャブオーバー型のバンやトラックと違い、内輪差と外輪差の違いによる左折時の巻き込み事故のリスクが少ないことや、キャブオーバー型商用車のように運転席の真下にエンジンがないことから振動や騒音、放熱が少ない上に、座面の厚みをたっぷりと取ることができるため、乗り心地の面でも優れているといったメリットもあります。

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フルゴネットのシトロエン「2CV AK」(画像:シトロエン)。

 さらに、重心が低いので走行安定性にも優れており、クラッシャブルゾーンが確保されているので衝突安全性も有利となります。パワートレインへのアクセス性が良いので、保守管理が容易なことも特徴となっています。

 一方、デメリットはそのボディ形状から積載能力の点でキャブオーバー型商用車には及ばないことです。ただし、荷物を目一杯積んだ際の最大積載量では見劣りするものの、車体後部の荷箱はかなりの高さがあり、かつ低床設計の恩恵もあって、家具や自転車などの大きな荷物を運ぶときに困ることはありません。

 こうしたメリットゆえに、かつては国産メーカーも生産をしていました。

 国産フルゴネットの第1号車となったのは、オフィス家具で知られる岡村製作所が1957年に発表した「ミカサ・サービスカー・マークII」でしたが、わずか3年で同社が自動車ビジネスから撤退したことで、ほかに影響を与えることなくひっそりと歴史の中に消え去っています。

 それから30年以上のときを経て登場したフルゴネット車が、バブル絶頂期の1989年にデビューした日産「エスカルゴ」でした。

 フランス語で「カタツムリ」を意味する車名を与えられたこのクルマは、その名の通り、丸く背の高いシルエットや大きく飛び出したヘッドランプが特徴の商用車でした。ベースとなったのは初代「パルサーバン」で、同時期に登場した日産製パイクカーの中で唯一の商用車です。

 2年間の限定で販売された結果、大変な好評を博しました。なお、購入者のなかにはデザインを気に入り、マイカーとして購入した人も多かったようです。

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