後ろ姿に違和感!「変わりダネ商用車」廃れたのナゼ? オシャレで可愛かったのに
車体の前半部分は乗用車のまま、後半部分に大きな荷箱を設けたフルゴネットは、1997年にルノーが「カングー・エクスプレス」を発表するまで欧州で人気の商用車でした。そのようなフルゴネットを過去、日産とスズキでも商品化していました。
本場欧州からも姿を消しつつあるフルゴネット
「エスカルゴ」のヒットに気を良くした日産は、その後「ADバン」をフルゴネット化した「AD MAX」を発表しますが、こちらは通常のライトバンに荷箱をつけただけのクルマで、ユーザーの心を掴むには至らず販売は低迷。1999年のフルモデルチェンジを前にひっそりと姿を消しています。

日産以外には、1991年にスズキが軽自動車の3代目「アルト」をベースにフルゴネットを1年間限定で生産したことがあります。「アルトハッスル」と名付けられたこのクルマは、ラインオフした「アルト」を改造して生産する特装車で、定員4名の5ナンバー(乗用)グレードのほか、定員2名の4ナンバー(商用)グレードも設定されており、ベース車と同様にギアボックスや駆動方式を用途に応じて選ぶことができました。
ほかにも1991年にマツダのグループ会社のM2が、オートザム「レビュー」をベースにフルゴネットの「M2 1004」を製作して1991年の東京モーターショーに出展しましたが、このクルマが市販化されることはありませんでした。
フルゴネットは、その外観デザインからオシャレでエキゾチックな魅力を感じる人が多いものの、ヨーロッパとのニーズの違いから日本で普及するのはなかなか難しかったのかもしれません。
なお、フルゴネットの製造が盛んであったヨーロッパにおいても、ルノー「カングー」の商用車版である「カングー・エクスプレス」が1997年に登場したことで一変しています。
「カングー・エクスプレス」は、ルーフに段差のないスッキリしたモノスペースデザインと、後部ドアにスライドドアを採用したのが特徴で、従来のフルゴネットに比べて、使い勝手や積載能力が大幅に向上した結果、商業的に大成功を収めました。
その結果、ヨーロッパの各メーカーもこれに追随。現在の欧州市場ではフルゴネットはすっかり廃れ、モノスペース商用車が主流となっています。
もはや「フルゴネット」は、本場ヨーロッパでも「懐かしのクルマ」という位置づけになってしまっているようです。
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に
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