いよいよ日本も「無人機の“大量導入”」へ その機体とは? 将来は“戦闘ヘリ全廃”

中谷 元防衛大臣がトルコを訪問し、無人機メーカーのバイカルを視察しました。政府がいよいよ無人機の大量導入に乗り出す序章となる可能性があります。他方、他国の競合製品のテストも国内で進められています。

イスラエル製よりトルコ製優位か? 気になる“大方針”

 ヘロンMkIIは同クラスのUASと比較しても高い性能を備えています。バイラクタルTB2SはヘロンMkIIに比べて小型なため、AH-64Dが使用している「ヘルファイア」対戦車ミサイルのような重量の大きい兵装は搭載できません。このためバイラクタルTB2Sが採用され、攻撃任務に使用する場合は、専用のトルコ製兵装の導入が必要になります。

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陸上自衛隊の対戦車ヘリAH-1S。これも無人機に置き換えられるのか(画像:陸上自衛隊)。

 バイラクタルTB2Sと日本の防衛企業との関係性は明確ではありませんが、ヘロンMkIIは川崎重工業となんらかの形で協力関係にありますので、現時点では産業の維持育成効果でも、ヘロンMkIIがバイラクタルTB2Sを上回っていると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 ただ、前に述べた東京新聞の記事は、「大方針は質より量だ。まずは数で優勢を確保する戦略になる」という、政府高官の発言を紹介しています。

 この方針に基づいて多用途無人機の調達が行われる場合、おそらくヘロンMkIIより価格の安い、バイラクタルTB2Sが俄然有利になります。

 また、パレスチナのガザ地区に対するイスラエルの姿勢は、自由主義陣営諸国からも批判されており、この状況下でイスラエル製の防衛装備品を導入することは、日本の国際的な立場を悪くする可能性も大いにあります。

 こうした理由から、2026年度防衛予算に調達費が計上される多用途無人機は、ヘロンMkIIではなく、バイラクタルTB2Sになる可能性が高いと思います。

【これが対抗馬?】日本でテストが目撃された“イスラエル製無人機”(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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