「ガンダム」あるある「敵軍から鹵獲した兵器を自軍の主力新型兵器に…」→そんなこと本当に可能なの?
ガンダムシリーズの新作では「敵軍の兵器・ガンダムを鹵獲して、自軍の主力兵器として生産・新規開発する」という設定でストーリーが構築されています。現実では、こうしたことはあるのでしょうか。
イスラエルでは鹵獲兵器を改造し新型扱いしたことも
ウクライナ戦争でも、ウクライナ軍はソ連軍の戦闘兵器を使用していた関係で、侵略してきたロシア軍の兵器を鹵獲・修理しての使用が多く見られます。

とはいえ、敵軍の開発した「ガンダム」を、シャアの専用兵器として改良するだけでなく、「ガンダム」として新規開発までするというのは、珍しいことではあります。
現実の例をあげるとすると、第三次中東戦争でイスラエル軍は数百両のソ連設計戦車T-54/55を鹵獲します。同国を支援していたイギリス・フランスが支援を中止したため、イスラエルはT-54/55をTiran-4/5として正式採用しました。自軍の規格に合わせるために主砲や機関砲の換装、照準装置の交換、爆発反応装甲追加などの改良などが加えられたのです。
さらにT-55/Tiran-5を「T-55Sサモワール」として、新規設計した何種類かのプロトタイプを開発しようとまでしています。「サモワール」の開発は中止されましたが、これが現実では最も近い事例と言えるでしょう(『ジークアクス』のように自軍の主力兵器の開発を中止してまで切り替えるという事例は、さすがにないと思われますが)。
『ジークアクス』は『機動戦士ガンダム』、いわゆるファーストガンダムのパラレルワールドですが、そもそも宇宙世紀はジオンの象徴とも言えるモビルスーツ「ザク II」に類似した「ハイザック」を、地球連邦軍のジオン狩り部隊ティターンズが採用するような世界観です。
こうしてみると、「高性能であれば連邦軍が新型ザクを作っても、乗ってみたい」というような価値観が根付いているのかもしれません。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
コメント