線路際にずっしり佇む「巨大コンクリ遺構」=「超短期間で廃止された鉄道跡」!? 関東を走るSLとも縁が

北海道釧路市を走るJR根室本線の線路際に、コンクリートでできた「謎の遺構」があります。背丈が列車より高く、コンクリートでできたその構造物が実際に使われたのは、わずか2年3か月ほどでした。

貨物線は2年あまりで廃止…何があった?

 これらを解消するため、根室本線や道路をオーバークロスする貨物線が雄別本線の鶴野駅(釧路市鶴野)とともに造られ、新富士~鶴野間が1968(昭和43)年1月21日に開業しました。これが雄別鉄道鶴野線で、遺構の場所で根室本線をまたいでいたのです。

 鶴野線の開業により鳥取側線は廃止され、鳥取信号所は雄鉄昭和駅となります。新富士や鳥取、昭和の地域にとっても変化を迎えた時でもありました。

 このような経緯で開業を迎えた鶴野線でしたが、約2年3か月後の1970(昭和45)年4月16日に廃線となります。1969(昭和44)年4月、親会社の雄別炭礦が経営していた茂尻炭鉱(赤平市)で爆発事故が発生し、閉山。この影響で急激に資金繰りが悪化し、雄別鉄道は親会社への吸収合併を経て、最終的に鉄道事業の廃業に至ったのです。

 この結果、雄別鉄道が運営していた路線は、釧路埠頭開発に譲渡された埠頭線を除き廃線となります。鶴野線は市内の道路交通状況の改善や根室本線との平面交差解消など、重要な役割を果たしたにもかかわらず、わずかな期間でその役目を終えたのでした。

 現役時代よりも遺構としての時間がはるかに長くなった橋脚。廃線跡の多くはサイクリングロードなどに活用されている中、当時の様子を伝えるこれらは貴重な存在といえます。根室本線に乗車した際や、近くを車で通った際は気にかけてみてはいかがでしょうか。

 余談ではありますが、東武鉄道で「SL大樹」などを牽引(けんいん)する蒸気機関車「C11 123」は、かつて雄別鉄道で「C111」として活躍していました。元々は滋賀県の江若鉄道向けに製造され、1957(昭和32)年に雄別鉄道へ移籍。雄別鉄道の廃止後は釧路開発埠頭の機関車となり、1975(昭和50)年まで現役でした。

 つまり、C111が雄別鉄道に在籍した期間は鶴野線の営業期間と重複しており、根室本線との交差も走っていたと考えられるのです。

 わずか2年あまりで役目を終えた路線とその遺構。そこを現役時代に走行したかもしれない蒸気機関車が、遠く関東の地で動態復元を経て今も活躍している……そう考えると、なんだかロマンを感じてしまいます。

【写真】これが3つ並ぶ遺構と、関東で復活したSLです

Writer:

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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