「無人の潜水艇」に「AI魚雷」 日本とも連携する米の“大物”防衛スタートアップ企業とは? 台湾の展示会で注目

台湾で開催された防衛展示会TADTEで、アメリカのある防衛スタートアップ企業が大きな存在感を示していました。VR技術を広めた立役者が設立した同社はいま、無人装備の分野でアメリカ本国において急伸、日本にも連携を広めています。

アメリカ企業が目立った台湾防衛展示会

 2025年9月17日から20日までの4日間、台湾の台北市に所在する大規模イベント会場「台北南港展覧館」で、防衛・セキュリティの総合イベント「TADTE」(Taipei Aerospace & Defense Technology Exhibition/台北國際航太曁國防工業展覽會)が開催されました。

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ロッキード・マーチンのブースに展示されたF-16Vの大型模型。台湾が導入を望んでいるF-35に関する展示は行われなかった(竹内 修撮影)

 中国語のイベント名に「国際」の二文字が入っているように、TADTEは国際展示会という位置づけなのですが、日本を含めた大多数の国は台湾を国家として承認していないため、簡単に台湾へ防衛装備品を輸出することはできません。このためBAEシステムズや、非武装のUAS(無人航空機システム)を出展したエアバスなどを除けば、ヨーロッパやアジア諸国の防衛企業の出展は多いとは言えず、「DSEI Japan」など、他のアジア諸国で開催されている防衛装備展示会に比べると、「国際」感は薄れます。

 他方、アメリカは1979年に成立した台湾防衛法により、台湾への防衛装備品を輸出することができます。このためTADTEでもアメリカ企業の出展が目立っていましたが、台湾防衛法では台湾に輸出可能な防衛装備品を「台湾防衛用」と定義しているため、ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンやRTXなども、台湾が導入を望んでいる最新鋭の防衛装備品の展示は行っておらず、国際防衛装備展示会としては、やや寂しい印象を受けたことは否めません。

 その一方で、単独のブースこそ出展していないものの、台湾で防衛装備品の研究開発を行っている中山科学研究院と防衛装備品の共同開発を行っているアメリカ企業が、中山科学研究院と台湾軍のブースで開発中の最新防衛装備品の展示を行い、大きな存在感を示していました。

 そんなアメリカ企業の一つが、アンドゥリル・インダストリーズ(以下アンドゥリル)です。

「VRの立役者」が設立した防衛スタートアップ

 アンドゥリルはVR(仮想現実)ヘッドセットブランド「Oculus」(現・Meta Quest)の創業者であるパルマー・ラッキー氏と、トレイ・スティーブンス氏によって2017年に設立された、防衛スタートアップ企業です。

 ラッキー氏の前歴が物語るように、アンドゥリルは安全保障用途のソフトウェアやシステムの開発を目的に設立された企業です。

 アンドゥリルは2018年に、アメリカ政府へ南部国境における人身売買と麻薬密輸を検出するためのパイロットプログラムを納品しています。このプログラムは運用開始から最初の12日間で55人の人身売買と麻薬密輸の容疑者の検出に成功。これによりアンドゥリルの技術力の高さは、いちやく世に知られることとなりました。

【「幽霊」ドローンって?】これがアンドゥリルの無人装備です(写真)

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