「えっ、庄内に台湾便!?」好調インバウンドの波に乗れない“幻の海外路線” ローカル空港の復活を阻む“定期便化の壁”とは

コロナ禍以前、山形県の庄内空港など意外な地方空港にも国際線がありました。しかし、訪日客が急回復するなかでも、これら“幻の路線”の復活は簡単ではありません。なぜでしょうか。

なぜ飛ばせないのか 定期便化を阻む根深い「3つの壁」

 定期便化を阻む「壁」の正体は、大きく3つあります。

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山形県の庄内空港(画像:写真AC)

【壁1:世界的な資源不足】

 航空会社が直面する、世界規模での旅客機とパイロットの不足です。コロナ禍を経て航空需要は急回復しましたが、旅客機の製造は遅れており、世界中で機材が不足しています。航空各社は限られた機材と人員を、収益性の高い主要路線へ優先的に投入せざるを得ません。

【壁2:空港の受け入れ体制の限界】

 空港側の地上スタッフや設備が不足しています。特に手荷物の搭載などを担うグランドハンドリング要員は、コロナ禍で多くが離職し、業界の不安定なイメージから補充も難しい状況です。

 現場からは「飛行機は来ても、地上で迎えるスタッフが足りない」という声まで上がっています。さらに税関(Customs)・出入国管理(Immigration)・検疫(Quarantine)といった、いわゆるCIQ関連も、恒久的な体制がないと航空会社は定期便化に踏み切れない一方、定期便がなければ行政も職員を常駐させられないという「鶏と卵」のような問題を抱えています。

【壁3:路線の経済性】

 航空会社は「有効座席キロ当たり収入(RASK)」などの指標で厳密に判断します。自治体からの補助金が尽きた途端に撤退する「補助金トラップ」への懸念もあり、日本発の便が空席だらけでは路線は成立しません。地域住民の海外渡航(アウトバウンド)需要とのバランスが不可欠です。

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