原チャリ界の「スーパー戦隊」!? ホンダの元祖「ビート」 世界初てんこ盛りで、どうにもスベっちゃったワケ

ホンダは、国内バイクメーカーのなかでも“優等生”的な印象が強い会社ですが、かつてはきわめて挑戦的なモデルを突如として作ることもありました。その筆頭が、1983年登場の「ビート」です。

超強気な販売目標で挑戦も…

 数々の先進的な装備を採用したビートの新車価格は15万9000円。同年代のホンダの原付スクーター「タクト」の上位モデル「フルマーク」が14万1000円だったことを考えると、大幅なコストアップは抑えた設定だったといえます。

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当時のカタログ。キャッチコピーは「高感度スクーティング」だった(当時のカタログより)

 その一方、発売時にホンダが計画した年間の目標販売台数はなんと5万台。原付スクーターブームの真っただ中だったとはいえ、かなり強気な目標でした。半ば採算度外視でビートを売り込むことで、数々の先進技術を世間にアピールしたかったのかもと勘繰りたくもなります。

 しかし、当時の原付スクーターブームを支えていたのは「バイクはよくわからないけど、スクーターはオシャレで便利で良いね!」という比較的ライトなユーザー層であり、先進のメカニズムに着目するマニア層ではありませんでした。ビートの良さは、こうした大半のライトユーザーには非常に伝わりにくいものだったのです。

 結局、ビートは奇抜すぎる外観デザインもあり、わずか3年で生産を終えました。世間的には現在も“珍車”と評されることの多い1台ですが、ほかのどのモデルにも似ていないデザインや、数々の世界初アイテムはユニークさに満ちており、世界広しといえどもホンダにしか作れない、唯一無二のバイクだったといえるでしょう。

【いったい“何レンジャー”?】これがホンダの「超奇抜な原付」です(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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