同じ名前で130年!「福島駅」「郡山駅」が500km以上離れて存在するワケ “禁断のダブり”に歴史あり

鉄道会社の路線では、切符を発売する際などに混乱するため、基本的に同名の駅を作らないのが原則です。ただ、いくつか例外的に同一の駅名が別々の場所に存在するパターンがあります。代表的な2つを見てみましょう。

「福島~福島」の乗車券は買えず「郡山~郡山」は発券可能なワケ

 名称が同じ駅が2つあるのならば、その駅同士を発着する乗車券を買ってみたくなります。そのような場合、乗車券にはどう表示されるのでしょうか。

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福島県の郡山駅(上)と奈良県の郡山駅(下)の駅名標(咲村珠樹撮影)。

 結論から言うと、福島県と大阪市を結ぶ「福島~福島」の乗車券は買うことができません。これには国鉄からJRに継承された「運賃計算の特例」が影響しています。

 東京や大阪、横浜といった特定の都区市内にある駅を発着する場合、その地域の中心となる駅(東京ならば東京駅、大阪ならば大阪駅)から201km以上離れた駅との間では、実際の乗車駅に関わらず地域の中心駅を基準に運賃が計算されます。乗車券には「東京都区内」や「大阪市内」と記されます。

 福島県の福島駅と大阪市の福島駅は最短距離でも750kmほど離れているので、当然この特例が適用されます。このため、乗車券は「(北)福島~大阪市内」という表記になってしまうのです。

 これに対し、福島県と奈良県の郡山駅同士を発着する乗車券は購入することが可能です。乗車券には「(北)郡山~(関)郡山」と記され、なんだか不思議な印象を受けます。

 ちなみに、JR発足後に誕生してしまった「ダブり駅」も存在します。しかも一度は駅名が重複しないよう「新」を付けたのにも関わらず、です。

 それは北海道の根室本線と、静岡県の東海道新幹線にある「新富士駅」です。開業したのは北海道の方が先。根室本線から富士製紙の工場へ向かう専用線が分岐する駅だったので、富士製紙にちなんで「富士」、この時すでに静岡県に東海道本線の富士駅が存在していたので「新」をつけ、1923(大正12)年12月25日に「新富士駅」が開業しました。

 一方、東海道新幹線の新富士駅が開業したのは、JR発足後の1988(昭和63)年3月13日です。ほかの路線との接続がない、新幹線単独駅として誕生しました。駅名が決定したのも1987年10月16日で、JRが発足してからになっています。地元からの請願により富士市内にできたという経緯からすると、駅名が重複するけれど、やはり「新富士」以外は考えられなかったのかもしれません。

 こちらのケースでは、北海道の方は根室本線の「根」をとって「(根)新富士」、静岡県の方は東海道新幹線の「東」をとって「(東)新富士」と乗車券上は表記されます。どちらも運賃計算の特例が適用される大都市の駅ではないので、双方を発着する「(根)新富士~(東)新富士」という乗車券を購入することができます。

 かなりのレアケースではありますが、JR各社の路線には、ほかにも重複駅名がいくつか存在します。なぜ重複がそのままになったのか、逆に重複を避けるため、どのような駅名が採用されたのか、経緯をいろいろ想像するのも鉄道の楽しみ方といえるでしょう。

【写真】どっちだよ!? これが「関西の郡山」→「東北の郡山」切符です

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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