「背広を着たビジネスマンが乗る“原付”」 スーパーカブと並ぶもう一つの“ビジネスバイクの金字塔”を今こそ振り返りたい!
2025年11月で原付一種バイクの新車生産が終了。注目を集めたのは、やはりというべきかホンダのスーパーカブ50ccの生産終了でした。しかし、ホンダにはもう一台の忘れてはならないビジネスバイクがありました。それが「ベンリイCD50」です。
またがって乗る「カブ系エンジン」
CD50はスーパーカブとの共用エンジン、大型ライト、大型ミラー、ワイドで頑丈なアップハンドル、シングルシート、大型キャリア、12V・7AHの当時としては大容量のバッテリーを搭載した「ザ・実用車」でした。原付ではまだ珍しかったセルモーターも、初代にしてすでにラインナップ。以降ビジネスシーンで多く採用されたほか、CDシリーズは警察用車両にも採用されました。
1968年の初代モデルから50ccと65ccのベンリイCDが存在しましたが、1970(昭和45)年にはCD70、CD90がラインナップされます。なお、ベンリイCDシリーズの長男的存在のCD125は、これら90cc以下のモデルとは出自がやや異なり、エンジンもカブ系とは異なるCB系の縦型です。ただし、同じくビジネスバイクとして同じシリーズのモデルの位置付けでした。
いずれのベンリイCDも1973(昭和48)年にモデルチェンジを行い、ややエッジのきいた外観に変更。1979(昭和54)年には54年騒音規制への適合と合わせて再びモデルチェンジを実施しました。また、1983(昭和58)年のモデルチェンジではそれまでのリッター85kmから140kmへと大幅に燃費を向上させました。
続く、1987年、1993年、1994年と細部のブラッシュアップを図っていったベンリイCD50ですが、大きな転換期を迎えたのは1996年発売の派生モデル、ベンリイ50S/90Sでした。
それまでのスーパーカブを含むビジネスバイクは、あくまでも実用的な認識を持つユーザーが大半でしたが、90年代に入るとバイクファンの間で「いや、シンプルなビジネスバイクのほうが面白いぞ」「カスタムベースにもなる」と、従来とは異なる評価を受け始めました。
こういった新しいニーズに呼応するように登場したのが、ベンリイCD50/90をベースに、ややオシャレに再構築されたベンリイ50S/90Sでした。機構的にはそう変わらない一方、ハンドルやシートを低めに設定することでスポーティなバイクに変身。以降、ベンリイ50S/90S は2007年までシリーズが続いたほか、1997年発売のベンリイCL50などにも強い影響を与えました。





CL50、まだたまに運転しているけれど、実は自分の車やバイクの中で唯一車両側の故障で動けなくなったバイクだったりする。
耐久力低いのに部品がない。
今はその後継とも言える、電動バイクのベンリィeが、ビジネスバイクとして活躍している
郵政バイクは、もうだいぶカブからベンリィeに入れ替わっている