安心の「国産EVバス」その心臓は中国製 「どこまで国産なのか問題」純国産なんてあり得ない!?

電気バスの導入が進むなか、「日本製」への期待が高まっています。しかし、部品の製造国や組み立て場所は様々で、何をもって「日本製」と呼ぶのか、その定義は単純ではありません。

心臓部「バッテリー」はどこ製か?

 エルガEVのように、シャーシもボディも国内の会社であれば日本製と理解できます。BYDのように、製造は海外で行われ、日本法人が販売したとしても海外製と認識されれば、日本製といわれることはないでしょう。逆に、EVモーターズ・ジャパンの車両のように海外でボディまで仕立てられた車両を輸入して、国内の会社が販売したものを日本製と呼ぶには違和感があります。

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エルガEVを製造するジェイ・バス宇都宮工場がエリアの関東自動車は、エルガEVを「メイドイン宇都宮」とアピール(乗りものニュース編集部撮影)

 さらに、シャーシの中を細かく見るとモーター、インバーター、バッテリーなどの電動化に関わる主要部品が、どこで製造されたものかも考える必要が出てきます。

 前述で日本製としたエルガEVに搭載されているバッテリーはLGエナジーソリューション(韓国)による海外製となります。逆に、アルファバス(江蘇常隆客車有限公司)の車両にはAECS社による日本製のバッテリーが使われているという事例もあります。

 信頼性を求めて日本製を求めるのであれば、電気バスの心臓部となるバッテリーこそ日本製を求めるという考えもできるかもしれません。アルファバスの商品紹介でも真っ先に「高い信頼性の日本製バッテリーを採用」を謳っています。

 さらに、故障時の原因を早急に把握するため、車両には各種センサー・ロガーが搭載されており、通信機器を通じてモニタリングする機能が付与されています。これに対して、2025年11月にノルウェーで走行する中国製の電気バスにおいて、外部からの制御により車両を停止させることができる脆弱性が指摘されました。

 通信機器の安全性についても細かく考える必要があります。モニタリングをしてデータを蓄積することだけが目的なのか、OTA(Over the Air)によりシステムのアップデートや制御が可能なのかによって安全性は異なります。

 また、モニタリングだけを行う場合でも通信を行うSIM(Subscriber Identity Module)が日本製なのか海外製なのか、データを蓄積するサーバーがどこに設置されているかも考慮が必要です。もちろん蓄積されたデータに対して誰がアクセスできるかが一番重要な要素となります。

【これって国産…?】バッテリーが日本製のEVバス(写真で見る)

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