東京メトロに海外の地下鉄を任せたら「快進撃!!」 “日本式”は何をどう変えた? 英国鉄道大手CEOに聞いた
東京メトロや住友商事と提携してロンドンの地下鉄を運営している英国鉄道大手Go-Aheadグループ。今回その経営トップが単独インタビューに応じ、「東京メトロに期待すること」を明かしました。
警察幹部も務めた人情派CEO
人情派とも言える同氏の経歴は一風変わっています。オランダ第2の都市ロッテルダムの警察幹部として中央駅周辺の麻薬対策を担当していたところ、顔見知りになったオランダの鉄道会社から引き抜かれ、そこから英国の鉄道会社へと転職し、行く先々で遅延や運休などの問題に取り組み、2023年に英国最大級の鉄道・バス事業者のトップへと登り詰めたのです。
一見するとまったく違う業界への転身にみえますが、警察時代の経験は今でも活きているようです。「当時から部下には、警察は地域に奉仕するために存在すると説いていた。市民を取り締まるのではなく、市民のためにできることはないか聞いて回るように指導していた。その基本理念は鉄道業界に移ってからも変わらない」と同氏は回顧します。
「鉄道を通じて人々の人生を良くしたい」と言う同氏のモットーは、インタビュー中、随所ににじみ出ました。
2025年11月1日、ロンドン郊外の特急列車内で30歳代の住所不定の男性が11人に重軽傷を負わせる事件が発生し、英国中に衝撃を与えました。こうした事件を防ぐためにできることを尋ねたところ、「鉄道は社会の一部だから、鉄道の警備を強化しても無駄だ。それよりも、こうした事件を起こしがちな貧困層や社会的マイノリティに手を差し伸べて、不満のない社会を作ることが大切だ」と答え、「防犯カメラを増やす、駅構内の警官を増やす」という筆者の浅い想定を一蹴しました。
チャールズ国王が立ち上げた慈善団体「ザ・キングス・トラスト」(旧ザ・プリンスズ・トラスト)とともに「人生の目標を見出せずにいたり、定職に就けなかったりする人々に、運転士としての職業訓練の機会と就職の機会を与えている」そうです。
また、Go-Aheadグループはノルウェーやスウェーデンなど世界5か国の鉄道運行に携わっていますが、進出先はどのように決めているのかと問うと、「ポリシーは一つだけ。人権侵害を行っている国には展開しない」と即答。人情と欧州リベラリズムが交錯するのを感じました。





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