東京メトロに海外の地下鉄を任せたら「快進撃!!」 “日本式”は何をどう変えた? 英国鉄道大手CEOに聞いた
東京メトロや住友商事と提携してロンドンの地下鉄を運営している英国鉄道大手Go-Aheadグループ。今回その経営トップが単独インタビューに応じ、「東京メトロに期待すること」を明かしました。
日本では当たり前のルールもロンドンだと「導入は厳しい」?
もっとも苦労はあります。定時運行率の改善には乗客の整列乗車を導入するのが有効ですが、「多国籍なロンドンではルールを守るという文化が希薄な人もいる」と指摘します。
「乗客をホームで3列に並ばせること自体がそもそも大変。その上、次発の1本後の電車に乗りたい人は次々発の人用の列に並んで、次発の電車が発車したらその列を崩さないまま平行移動して次々発のレーンから次発のレーンにずれるとか、そんなルールをロンドンの地下鉄で導入するのは厳しい」(ヴァーワーCEO)
それでも日本の鉄道業界から学ぶことは多く、今後も東京メトロとは協力を深めたいと期待しているそうです。同社はオーストラリアとニュージーランドの鉄道運行への参入を目指しており、「メルボルンに拠点がある(同社の)協力企業に東京メトロを見学してもらった」と明かしました。
もともと同社の理念は国境の垣根を越えて学び合うことにあるそうです。スウェーデンやノルウェーなど日本以外からも知見を得ることが多いと言います。
「グループ内で国境を越えて成功体験をシェアしていきたい。理想を言えば、企業の垣根を越えて交流を持ち、対話を深めたい」「お互いの国を訪問しあい、電車に乗って、駅周辺で買い物をしてみるだけでも気が付くことは多く、学びがある」と、人情派らしい考えを示しました。
こうした細かい努力と高い理想があるからこそ、9割以上の乗客が、「エリザベス線は地域に良い影響を与えた」と回答する結果に結び付いているようです。人情派CEOが選んだ東京メトロとの協調で、今後、エリザベス線に始まりノルウェーやスウェーデンなどの路線で鉄道の運行や地域振興がどう変わっていくのか、あるいは、東京メトロも海外展開で変わっていくのか、注目したいところです。
Writer: 赤川薫(アーティスト・鉄道ジャーナリスト)
アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。





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