世界初の軍用飛行機はライト兄弟が作った!?「歴史上の偉人」が生んだ知られざる「初めて」(前編)

ライト兄弟は、1903年12月17日に世界で初めて「制御された動力飛行」に成功したことで知られています。これだけでも歴史に名を残したといえるのですが、それ以外にもさまざまな航空分野での「初めて」を記録しています。

世界初のカタパルト発進は「重力」頼み!?

 そこでライト兄弟は、やぐらから重りを落とし、その力を利用して飛行機を加速させる、いわば「重力カタパルト」を離陸に利用することを思い付きます。このカタパルトは、高さ約5mのやぐらと1個200ポンド(約91kg)のドーナツ形の重りを複数組み合わせるタイプの駆動装置と、飛行機の主翼前縁に取り付ける牽引バー、そして機体を載せる台車とレールで構成されていました。重りを持ち上げるのは人力で、数人がかりで引き上げられました。

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風洞実験を行うライトフライヤーのレプリカ(画像:NASA)

 1904年夏からカタパルト発進の試験を重ね、最終的に重りを7つ(合計約635kg)使用して安定した離陸に成功したのは、9月7日のことでした。9月15日には、さらに重りを1つ加えて1600ポンド(約726kg)に。この力でカタパルトから発進した2号機は半マイル(約800m)の距離を旋回する飛行に成功し、さらに20日には4000フィート(約1200m)あまりの周回飛行も成功させました。この年に実施された飛行テストでは、最大で飛行時間5分あまり、飛行高度40フィート(約12m)、飛行距離3マイル(約4.8km)にまで記録を伸ばしています。

 アメリカ国立公文書館に保存されている、1909年にバージニア州フォートマイヤーで実施されたライト兄弟の「ライト・ミリタリーフライヤー」(のちのライト・モデルA)の公式テスト飛行を撮影した記録フィルムには、アメリカ陸軍の中尉を同乗させた飛行機が、オービル・ライトの操縦でカタパルト発進する様子が映っています。

 このカタパルトにより、どんな場所でも離陸する方法が確立され、ライト兄弟は各地でデモンストレーション飛行が可能となりました。1909年8月にはアメリカ陸軍が「ライト・ミリタリーフライヤー」を購入し、世界初の固定翼軍用機(偵察機)が誕生しています。

 なお、日本国内で初めて日本人の手によって飛行機が飛んだのは1910年12月19日のことであり、その1年前にアメリカでは軍用機が誕生していたことになります。

【世界初の飛行機用カタパルトも】これがライト兄弟の初飛行を捉えた写真です

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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