「2030年代の鉄道新線」が続々と本格始動! 一方で「そんな事故起こるの!?」が多発 鉄道の2025年
2025年は、コロナ禍を経て社会経済活動がすっかり正常化。鉄道業界もインバウンドなど定期外利用は完全に回復し、2030年代を見据えたプロジェクトが各所で本格的に始動しています。そんな2025年の鉄道を振り返ります。
私鉄でも大きな事故が
10月5日に東急田園都市線梶が谷駅構内で発生した列車衝突事故は、鉄道業界全体に波及する騒動となりました。信号システムの設定条件に不備があり、回送列車の最後尾車両が線路上にはみ出ていたにもかかわらず、上り列車に青信号が出てしまったのです。
東急が全駅で緊急点検を実施したところ、二子玉川と新横浜の計3か所でも不備が見つかりました。国土交通省が全国の鉄道事業者に点検を指示したところ、JR東日本、JR西日本、京急電鉄、阪急電鉄など計10事業者15駅(11月12日時点)で同様の問題が判明しました。
地方でも大きな事故が発生しました。熊本市交通局(熊本市電)は2024年に脱線事故など計16件の運行トラブルが相次いで発生し、第三者委員会を立ち上げて再発防止策を議論していましたが、3月25日に熊本城・市役所前電停で電車の追突事故が発生し、乗員乗客15人が負傷しました。
5月21日には長野電鉄で、突風に吹き飛ばされた農業用の金属製パイプ小屋が走行中の列車に衝突し、乗客1人が死亡、2人が負傷しました。列車運転中に乗客が死亡した事故は、2005年12月の羽越線脱線転覆事故以来のことでした。
秋田内陸縦貫鉄道では12月12日に快速列車が脱線転覆する事故が発生しました。まだ詳細は明らかになっていませんが、倒木にぶつかったとみられています。列車は線路から5m下に転落しましたが、幸い乗客はおらず、運転士も救出されました。地方鉄道が十分な安全対策をするための経営支援が求められます。
2025年は良くも悪くも鉄道を取り巻く環境の変化を感じさせる1年だったといえるでしょう。
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx





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