種類が多すぎ!? 名古屋・静岡のJR在来線エース 20年で増え続けたバリエーションを探る
JR東海の313系電車は、同社のウェブサイトでも「様々なバリエーションを持つ」と説明されるほど、多種多様な設備を持つ形式です。その魅力を紹介します。
クロスシート車の行く末は?
1998(平成10)年から2000(平成12)年にかけて製造された第1・2次車には、扉間がボックスシートのセミクロスシートタイプもあります。これが3000番台(2006年の増備車は3100番台)です。
転換式クロスシートは東海道本線の新快速・特別快速に、ボックスシートは支線のローカル運用向けでした。ボックスシートは背もたれの傾斜が乏しいものの座席形状自体は好みで、同じボックスシートを備えたJR東日本のE233系と比較してもクッション性で上回ります。
2006(平成18)年の第3次車は、2300・2350・2500・2600番台(ブレーキや編成両数、ワンマン対応などで区分)としてロングシート仕様が登場しました。これは輸送力確保を目的としたものです。それでもトイレが設けられているのは、特筆すべき点といえます。ロングシートは、座面が広いことで比較的ゆったりと座れることが特徴です。なお、313系全般に言えますが、窓が大きく、窓柱が狭いため景色を眺めやすいのは賞賛すべきところです。
2010(平成22)年から2012(平成24)年にかけて第4次車が登場し、1300番台(転換式クロスシート+車端部ロングシート)と5300番台(オール転換式クロスシート)が加わっています。さらに、武豊線の電化に対応するために、2014(平成26)年に5次車を増備。2017(平成29)年の踏切事故に対応して、クハ313-5102とモハ313-5402(5000番台)の2両が同じ車番で代替新造されており、現時点ではJR東海で最新の転換式クロスシート車です。
転換式クロスシートを備えた先代の311系はすでに引退し、後継車の315系は「通勤形」に区分され、転換式クロスシート仕様車は存在しません。そのため、登場から26年が経つ313系初期型の新快速後継車がどうなるのかは、注目です。
313系はJR東海のすべての電化路線で運用された汎用性の高い車両です。現在も315系に置き換えられた中央本線名古屋~中津川駅以外で運用されています。今後もしばらくは活躍が続くと考えられますが、その多彩さに目を向けるのもおもしろいのではないでしょうか。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。





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