ベネズエラ大統領拘束の裏で暗躍? まるで忍者な「米軍の特殊作戦母船」 一見すると「民間フェリー」その実態は“動く極秘基地”
米軍によるマドゥロ大統領拘束という衝撃ニュースの裏で、カリブ海には「一見ただの商船」にしか見えない異様な船が潜んでいました。「オーシャン・トレーダー」という名の“謎船”、どういう役割を担っているのでしょうか。
ヘリ、オスプレイ、ステルス艇…あらゆる特殊兵器の「基地」として
「オーシャン・トレーダー」は、投入される作戦の種類が幅広く、広い飛行甲板を確保していることから、アメリカ軍が保有するほぼ全てのヘリコプターに対応していると推察され、陸軍第160特殊作戦航空連隊(ナイトストーカーズ)のMH-60「ブラックホーク」やMH-47G「チヌーク」、海軍のMH-60S「シーホーク」、海兵隊のCH-53K「キングスタリオン」はもちろん、ティルトローター機のV-22「オスプレイ」も昼夜問わず発着艦ができるとみられます。これに加え、情報収集で活躍しているUAV(無人航空機)の運用も行うことができるでしょう。
「オーシャン・トレーダー」の船内には最大で209人の特殊作戦要員を収容でき、45日間にわたり補給なしで作戦を支援できるだけの物資を積載することができます。船内には、アメリカ海軍の特殊部隊「ネイビーシールズ」(海軍特殊戦グループ)や同陸軍の「デルタフォース」などの隊員が生活できるよう食堂やジムが設けられているほか、武器や装備の保管スペースや秘匿性の高い通信に対応した指揮通信設備も用意されています。
洋上から作戦エリアに特殊部隊を侵入させるための複合艇(RHIB)や水上オートバイ(いわゆるジェットスキー)などを船尾側ランプから発進させることができるだけでなく、右舷側には「ネイビーシールズ」の特殊舟艇チームが運用するステルス形状の強襲戦闘艇、通称「CCA(Combatant Craft Assault)」を4隻、搭載することができます。これにより「ネイビーシールズ」などの潜入や撤収だけでなく、周辺の警備にも対応することができます。
同じく特殊部隊の拠点として使われる船としては、ルイス・B・プラー級遠征海上基地(洋上拠点機能を有する貨物船転用の艦艇)がありますが、「オーシャン・トレーダー」はそのような船型をしておらず、軍艦のようなグレー主体の塗装も施されていないことも、商船っぽさを際立たせているポイントでしょう。
ちなみに、同船は2023年7月に日本の米海軍横須賀基地へ現れており、密かにアメリカの世界戦略を支える特殊作戦支援母船らしく、ひっそりと沖合いに停泊していました。どこにも船名が書かれていないうえ、AIS(船舶自動識別装置)にも表示されない船「オーシャン・トレーダー」が活躍するときは、ベネズエラへの軍事介入のように世界情勢が大きく動くときなのです。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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