「空母改造いずも型」の“次”はどうなる? くすぶる「本格的空母」導入論 改修の知見どう活かす

防衛省は令和8年度予算案に、護衛艦「いずも」型の改修費285億円を計上しました。この費用には調査研究費も含まれており、その成果は「いずも」型だけでなく、将来の新型艦艇の計画にも活用される可能性があります。

ずーっとくすぶり続けている「本格空母」導入論

 いずも型の改修経費に調査研究の費用が含まれることは、2025年8月に発表された令和8年度予算の概算要求の時点で明らかにされており、同年11月8日号の「週刊東洋経済」は、調査研究の成果が本格的空母の導入に活用されるのではないかとの見方を示しています。

 そもそも、いずも型の改修は2018年末に閣議決定された「防衛計画の大綱」(30大綱)で決定したものです。ただ、いずも型の改修とF-35Bの導入という結論に落ち着くまでの過程で、内閣総理大臣官邸や国家安全保障会議、自由民主党国防部会では別案が俎上に載せられていました。前に述べたFLHDのような航空機の運用能力の高い強襲揚陸艦や、当時は日本が単独開発すると考えられていたF-2後継機(将来戦闘機)の艦載機型を開発し、カタパルトを備えたより本格的な空母を新規に建造する案です。

 いずも型の改修とF-35Bの導入という結論に落ち着いたのは、空母や強襲揚陸艦を保有することに対する国内外の批判への配慮や、厳しい財政状況への考慮など複合的な理由によるものですが、当時筆者は高位高官ほど、本格的な空母の導入に前のめりであったという印象を受けています。先の「週刊東洋経済」もやはり、本格的な空母の導入について、「高官ほど乗り気」であるという関係者の話を紹介しています。

 日本の財政状況は30大綱策定時より悪化していますので、本格的な空母の導入は現実的ではないとも筆者は思いますが、その一方で日本を取りまく安全保障環境は、当時より厳しさを増しています。この厳しい安全保障環境が飛躍的に改善されない限り、おそらく本格的な空母を導入すべきという考え方は、高位高官の中にくすぶり続けるのではないでしょうか。

【え…!】7年前に発表されていた「空母になり得る輸送艦」のイメージ(画像)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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