掃海艦、増やします!「けらま」進水で見えた海自の新方針 もがみ型護衛艦の“弱点”めぐる見直し
2025年12月、JMU横浜事業所の鶴見工場において、新たな掃海艦「けらま」が命名・進水しました。ただ、12隻調達したもがみ型護衛艦にも掃海機能が付与されていたはず。なぜ、もがみ型とあわじ型の平行整備になったのでしょうか。
もがみ型護衛艦を掃海に用いる際のウィークポイントとは
JMU(ジャパンマリンユナイテッド)の横浜事業所鶴見工場で2025年12月18日、海上自衛隊向けとなる掃海艦「けらま」の命名・進水式が実施されました。艦名の由来は沖縄県の慶良間諸島で、宮﨑政久防衛副大臣が同艦の命名書を読み上げています。
「けらま」は、あわじ型掃海艦の5番艦として、2022年度予算で建造が決まりました。建造費用は約134億円。2026年度中に就役する予定で、2025年度末に新編される「水陸両用戦機雷戦群(仮称)」への配属が計画されています。
あわじ型は当初、木造のやえやま型掃海艦3隻を代替するために計画されました。船体サイズなどがほぼ一緒なため、一見するとあまり変わっていないように映るかもしれませんが、最大の特徴は船体材料にFRP(繊維強化プラスチック)複合材料を採用している点です。
FRP製掃海艦は腐食に強いため、耐用年数が木造掃海艦の20年程度から、同艦では約30年まで伸びています。また、耐久性の向上に加えて、船体の軽量化とそれに伴う燃費改善も実現。そのため、やえやま型と全長や全幅などはほぼ変わらないものの基準排水量は1000トンから690トンへ大幅に減っています。
海自は、機雷の探知や掃海について、浅深度はもがみ型護衛艦が、深深度は掃海艦が担うことを目指しています。木造のすがしま型掃海艇(基準排水量510トン)に関しては、任務の一部をもがみ型FFMで代替できるため、隻数を減らしていく予定です。
ただ、もがみ型FFMは専用の掃海艦艇と比べて船体が大きく、小回りが利かないため、機雷が設置されているリスクが高いエリアで作業するには、掃海艦の方が向いています。加えて、もがみ型は船体が鋼製であるため、磁気に反応する機雷への対策が、木製やFRP製の専用に設計された掃海艦艇よりも劣っているという弱点も抱えています。
こういった点は、USV(水上無人機)やUUV(無人水中航走体)などで構成される無人機雷排除システムを持っていても拭い切れない、もがみ型のウィークポイントといえます。こうした点から掃海艦という艦種は今後も残り続けることが決まっています。





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