史上初! 人為的に「音速突破」したロケット機 形状に隠された意味と脱出不可のコクピットで命かけた“悪魔の空域” -1946.1.19

1946年の初飛行から80年。人類で初めて「音速の壁」を突破したベルXS-1は、機関銃の弾丸をモデルにした異形のロケット機でした。墜落=死を意味する過酷な設計で、いかにして“悪魔の棲む空域”を制したのでしょうか。

脱出装置なし「死ぬときは機体と一緒」命知らずのテスト飛行

 研究は当初MX-524と称されていましたが、MX-653に変更され、1945年になるとさらにXS-1(Experimental Supersonic-1)とされて、高速実験機にもこの名称が付けられました。

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ロケット・エンジンを搭載した試験機「X-1」(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 当時、すでに遷音速から音速へと移行する速度領域で、衝撃波や抗力の発生により機体が異常振動を起こして破損や空中分解することが知られており、「サウンド・バリアー(Sound Barrier:音の壁)」と呼ばれていました。ゆえに、転じて「悪魔の棲む空域」と称されたこともあります。この「見えない壁」を突破するため、ベルXS-1は、実に18Gに耐えられる機体強度を与えられています。

 エンジンに関しては、安定した推進力が長時間得られるジェット・エンジンと、短時間ながら爆発的な大推進力が得られるロケット・エンジンのどちらを採用するかの検討が続きましたが、最終的に後者が選ばれました。

 しかし、ロケット・エンジンは短時間しか作動せず推進力の微妙な調整も難しいため、ボーイングB-29「ス―パーフォートレス」4発重爆撃機を改造した母機の胴体下部(原型の爆弾倉を転用)に懸吊されて離陸し、空中で切り離されて発進。実験飛行終了後は、自力で着陸するという運用とされました。

 アルミ合金製セミモノコック構造の胴体の形状は、当時、超音速弾として知られていた50口径ブローニング重機関銃(12.7mm重機関銃)の弾丸と同じ形状とし、主翼には長方形の直線翼が選ばれました。実は当時、すでに後退翼のほうが音速突破には適していることが判明していましたが、実績がなかったのであえて直線翼が選ばれたのです。しかもこの直線翼、強度面を考慮してなんと1枚板造りでした。

【爆弾かミサイルのよう】B-29爆撃機と合体したXS-1ロケット機(写真で見る)

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