スイッチバック2回/県都は素通り/残っているのが奇跡!? ナゾの「激レア特急」が面白すぎる! 存続には黄信号
新幹線が停車する県都には立ち寄らず、有名観光地同士を直行するという一風変わった特急列車があります。今年も走った場合には登場から50年を迎えるサプライズに富んだ列車ですが、存続には「黄信号」がともっています。
50年の節目は大きな岐路に
このように独特な運行を楽しめるアルペン特急ですが、冬季以外の休日に1日1本だけの設定なのが示す通り、安泰ではありません。2022年4月のダイヤ改正では新型コロナウイルス禍による観光客減少を受けて運休し、翌23年4月に再開したものの1日1本のまま増えていません。
富山地鉄は近年、ダイヤ改正を4月に実施しており、慣例に従うと2026年4月に改正される可能性があります。アルペン特急は登場から50年の節目を迎えることもあり、26年4―11月は運行を続けるというのが筆者の予想です。ただ、アルペン特急は空席が目立つ状況だけに、設定される保証はありません。
2026年は運行されたとしても、富山地鉄が検討している一部区間の廃止の行方次第では廃止に追い込まれかねません。富山地鉄は不採算に陥っている本線の滑川―宇奈月温泉間と、立山線の寺田から立山へ8駅先に行った岩峅寺(いわくらじ)から立山までの区間について行政の支援がなければ廃止するとし、早ければ2026年11月末にも一部区間の運行を終える方針を示していました。2026年度は富山地鉄の鉄道事業で見込まれる赤字6億円のうち三分の二に当たる計4億円を富山県と沿線7市町村が助成するとの提案を受け、路線存続が決まりました。
しかしながら、富山地鉄は2027年度以降に事業再構築に着手する計画で、中でもあいの風とやま鉄道と並走する本線滑川―新魚津間の存廃が焦点となっています。同区間が廃止された場合には、富山地鉄の電車を使ってアルペン特急を現行区間で運転するのは不可能になります。
県庁所在地には立ち寄らず、スイッチバックを2回繰り返すユニークな観光地直結特急は大きな岐路に立たされています。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





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