「列車の代わりに乗れるバス」に勝ち目なし? 鉄道の存続危うし「自治体も消極的」の声 インバウンド“年45万人”来訪の沿線

インバウンド客で賑わう長野県白馬村。新幹線駅と結ぶ「臨時バス」まで出動している一方、並走するJR大糸線は利用が低迷しています。バス転換の可能性もささやかれるローカル線の現状を取材しました。

三セク化は困難で、向かうは?

 筆者が乗った列車は80人程度が乗車していたため、1台のバスで運行している「JR大糸線増便バス」ならば乗り切れない状況でした。この場合には鉄道の持ち味である大量輸送を発揮しましたが、大糸線は大きな岐路に立たされているのが実情です。

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南小谷駅の駅名標とJR東日本のE127系100番台(大塚圭一郎撮影)

 JR西日本が自治体側に「大量輸送という観点で鉄道の特性を発揮できるレベルには至っていない」と通告した糸魚川―南小谷間、およびJR東日本の南小谷―白馬間がバス転換に向かいかねない理由は大きく分けて三つあります。

 一つ目は、大部分の列車が空気を運んでいるためです。大糸線活性化協議会によると、南小谷―糸魚川間の1列車当たりの平均利用者数は多客期の2024年12月が5.7人、25年1月が11.4人で、だいたいの列車は1台のバスで代替できます。バス運転手を十分確保し、利用者が多い場合には1便にバス2台を用意できるようならば置き換えられます。

 二つ目として、大きなターゲットとなる訪日客を含めた白馬のスキー場来場者が使うには、糸魚川まで一本で移動でき、白馬八方バスターミナルにも立ち寄るバスの方が列車よりも利便性が高いためです。

 そして残る一つは、大糸線沿線の自治体などでつくる「大糸線利用促進輸送強化期成同盟会」の振興部会が2025年10月31日の会合で、持続可能な交通体系の在り方について2026年度中に結論を取りまとめる方針を確認したためです。

 もしも鉄道として残す場合には第三セクター鉄道への転換や、行政側が線路などの施設や車両を保有してJR側の負担を軽減する上下分離方式への移行が選択肢になります。ところが、地元の運輸関係者は「財政負担が重くなる自治体側は、今のところ消極的な姿勢を示している」と明かします。

 これら3点を踏まえると、十分な運転手を確保できる場合には「持続可能な公共交通」としてバス転換の道を進む可能性をはらんでいます。まるで雪が積もった後のように大糸線の鉄路の行方が視界不良になり、「JR大糸線増便バス」が「JR大糸線代替バス」へと置き換わりかねない正念場を迎えています。

【勝負にならん…?】これが大糸線の「列車の代わりに乗れるバス」です(地図/写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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