青い客車が静岡を駆けた! きっぷ・車内放送・夜食…昭和の“古き良き旅”ここにあり 大井川鐵道の夜行列車が魅せた旅情
すっかり過去のものとなりつつある客車夜行列車の旅ですが、その旅情を味わえるツアー「大井川鐵道 夜行急行」が実施されました。12系客車に揺られ、レールのジョイント音を聞きながら朝を迎えます。
深夜の駅で、夜行列車同士が顔合わせ
ところで、夜行急行に乗車して目に止まったものがあります。テーブルの下に設置された栓抜きです。レトロなイラストに「ビンを上へこじる」という表記。こんなアイテムが残っているんだなぁと眺めていると、車内販売でビンの飲料も販売しているとのこと。試さない手はありません。
慣れない手つきで栓を当ててみると、なるほどテーブルの下面とうまくはまり固定されます。列車の揺れに気を付けながらゆっくりと「こじる」と……シュッという音とともに栓が開きました。テコの原理で、瓶の下の方を持って「こじる」と少ない力で開けられそうです。簡単な作りながら、知恵が詰まっています。
12系客車で開栓した飲料を堪能していると、おやすみ放送が流れてきました。この時のチャイムは「ブラームスの子守唄」。消灯前に子守唄が流れるとは、なんとも粋な計らいです。
消灯後、まどろみの中で流れる街の明かり、遠くから聞こえる汽笛、停車中の静かな車内……。客車の夜行列車を、自分自身で「体験」できるのが何よりも貴重です。
深夜の金谷駅(静岡県島田市)では、JR東海道本線を走る上り東京行き寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」との離合も。夜行列車同士の顔合わせは静かな熱気に包まれました。
東の空が少しずつ明くなると、移り行く景色は普段と違うよう。車内で迎える朝はやはり特別なもの。昨夜新金谷駅に集まった見ず知らずの旅人たちは、顔や名前も知らないけれど「夜行列車で過ごした」という一つの共感に包まれながら、朝日に照らされる街へ旅立ちました。
大井川鐵道によると、今後の夜行列車は現時点では未定であるものの、企画は検討していきたいとのこと。客車が多く在籍する大井川鐵道だからこその旅を期待してしまいます。
Writer: 和田 稔(ライター・カメラマン)
幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。





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