巡視船が自衛隊の“統制下”に入るかも? 海上保安庁が自衛隊と「有事を想定した訓練」実施 その意義とは

防衛省は2026年3月11日、海上保安庁との共同机上訓練を実施したと発表しました。いわゆる“有事”において自衛隊の指揮下に入ることで、海上保安庁の役割はどう変わるのでしょうか。

巡視船が掲げる“守りのマーク” 国際法上の保護とリスク

 そして2023年4月、防衛大臣による統制の具体的な内容などを盛り込んだ「統制要領」が定められました。この統制要領に基づき、自衛隊と海上保安庁との間の情報伝達などに関する確立した手続きを検証するため、実施されたのが今回の机上訓練だといいます。

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2021年12月に行われた、不審船に対応する想定の海上自衛隊と海上保安庁の共同訓練(画像:海上保安庁)。

 それでは、有事に際して海上保安庁は具体的にどのような活動を行うこととされているのでしょうか。同庁が定めている「海上保安庁国民保護計画」によると、その内容は次の通りです。

(1)敵による攻撃の兆候を察知するための情報収集

(2)攻撃による被害が発生した海域などに関する情報の発信

(3)住民の避難や誘導、緊急物資の輸送など

(4)海上における警備や消火、救助活動など

 こうした国民保護などに携わる組織(文民保護組織)は、敵の攻撃から保護されることが国際法で定められています。そこで、海上保安庁の巡視船や航空機などには、国際法で定められている「特別標章」(オレンジ色地に青色の正三角形)を掲げることができます。2023年に実施された海上保安庁と海上自衛隊との共同訓練では、実際に巡視船にこの特殊標章を掲げ、それがしっかり遠方から目視できるかどうかが検証されました。

 ただし、こうした保護はあくまで「本来の任務から逸脱して敵に有害な行為を行わない限り」認められるものという点に注意する必要があります。仮に、海上保安庁の巡視船が実施したある行為が「有害」であると判断された場合、攻撃を受ける可能性も排除されません。

 こうした可能性を極小化させるためにも、例えば中国を含む国際社会に対して、有事の際の海上保安庁の役割について説明を繰り返す必要があるでしょう。

【これが“命守るマーク”!】巡視船に掲げられた特殊標章を写真で(画像)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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