さよなら艦首の“滑車”! 昭和生まれの自衛艦「わかさ」退役 対潜戦を陰で支えた40年の軌跡
1986年に就役した海上自衛隊の海洋観測艦「わかさ」が、40年にわたる任務を終え自衛艦旗を返納しました。海底地形や潮流を調べ、日本の対潜水艦作戦を陰で支え続けた“昭和のベテラン艦”の足跡を振り返ります。
海底を探るマニアックな装備群 そして消えゆく「昭和の自衛艦」
海洋観測が任務の「わかさ」は、バシー・サーモグラフ(BT)、電磁海流計(GEK)、柱状採泥器(コア・サンプラー)、シベック採泥器といった機器も載せており、これらを水中に投入するためのギャロウスや巻揚げ機が後部甲板には設けられています。
加えて、艦底にはマルチビーム精密音響測深儀を装備。任務に応じてさまざまな観測機器を搭載するための復原性能を確保する海水バラストタンクや、外洋における低速作業を考慮した減揺タンク、船位を保持するためのバウスラスターも備えています。長期間行動するため、高い居住性を持っているのも、「わかさ」の特長と言えるでしょう。
その「わかさ」も、新型の海洋観測艦「あかし」(3500トン)の就役に伴って、引退する日がやってきました。「あかし」と「しょうなん」(2950トン)は建造費の圧縮を図るためバウ・シーブが廃止されており、外観だけ見ても一つの時代が終わりつつあることがわかります。
「わかさ」艦長の佐々木 勝2等海佐は、「海洋観測は、我が国周辺海域の海洋特性を把握することにより、護衛艦や潜水艦、哨戒機などの活動を支える重要な任務。昭和、平成そして令和と、3つの時代にわたり任務を全うできたのは、歴代艦長をはじめ、歴代乗員の努力の賜物だ。『わかさ』の名が皆さんの心にいつまでも残ることを祈念したい」と別れの言葉を述べていました。
ちなみに、「わかさ」の自衛艦旗返納式から4日後の3月23日には、昭和生まれの護衛艦として最後まで現役だった「あさぎり」が除籍されています。
残る昭和生まれの自衛艦は、練習艦「しまかぜ」(1988年3月23日就役)と、補給艦「とわだ」(1987年3月24日就役)の2隻のみ。そうした観点からも昭和はだいぶ遠くなっていると言えるでしょう。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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