唯一でマルチな「特急ロマンスカー」なぜ青い? 直通する「MSE」だからこその特別体験
小田急電鉄の60000形電車「MSE」は、日本で初めて「特急用車両の地下鉄直通」を実現した車両です。2026年現在も唯一の事例として、「マルチ」に活躍するMSEを取り上げます。
マルチに活躍する青いロマンスカー
東京の地下鉄線内で有料座席車両が運行される事例が近年増えています。しかし、特急用車両がそのまま地下鉄線内に直通するという事例は、小田急電鉄の特急ロマンスカー60000形電車「MSE」のみです。
このような車両が実現したのは、2000年代初頭におけるロマンスカーの利用者層が関係しています。全体として観光よりも通勤や日常の利用が多かったのです。そのため、小田急線と直通運転する東京メトロ千代田線に特急ロマンスカーを走らせても需要はあると考えられました。
2005(平成17)年、小田急と東京メトロは「地下鉄直通用特急車両を製造し、直通運転を行う」と発表しました。当初は平日夕方に千代田線の湯島から小田急線の町田・相模大野まで直通運転し、土休日は小田急新宿駅を発着するロマンスカーになる予定でした。
地下鉄直通用ロマンスカーのデザイン・設計には、50000形「VSE」に続き、建築家の岡部憲明氏が起用されました。そして車両は60000形「MSE」に。「Multi Super Express」の略で、多彩(マルチ)な運行が可能な特急列車というコンセプトでした。
通勤用を前提に、30000形「EXE」のように6両と4両に分割併合が可能な貫通タイプに。地下鉄直通用として前頭部に貫通扉を設置する必要性もあり、VSEに設けられた展望席は採用されませんでした。
ただ、箱根湯本・片瀬江ノ島・御殿場方面は1号車1番CD席、新宿・北千住方面は10号車14番AB席を予約すれば、少しだけ前面展望を楽しめます。個人的には、地下鉄線内でトンネル内の風景を座りながら楽しめるのがおもしろいです。
外部塗装は岡部氏の意向もあり「地下鉄線内でも明るく輝くように」と、メタリックなフェルメール・ブルーを採用しました。「青いロマンスカー」は斬新で、登場時に話題になりました。
車内は、落ち着いた空間となるようVSEに続きヴォールトと呼ばれるドーム型の天井を採用。間接照明や座席上の電球色LEDを組み合わせて上質な雰囲気を演出しています。筆者(安藤昌季:乗りものライター)の主観ですが、地下鉄線内や夜間の走行時における車内の美しさは素晴らしいです。





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