道に埋め込まれた「ナゾの“不”印」はUFOの着陸地点? 実は英国人技師の置き土産 足もとに100年以上ある「隠れ近代化遺産」

東京都内の路上でたまに見かける「不」の字に似た石の印。UFOの着陸マークという都市伝説もあるようですが、実は日本の近代化を支えた重要な「しるし」でした。

「不」の字の由来

 測量を行うには、なるべく遠方まで見渡せ、移動や交通の便、宿泊の用にも事欠かない、街道を沿って行うのが好都合です。そこで、東京~塩釜間(約387km)を結ぶ奥州街道(現・国道4号)を選び、双方からそれぞれ約160km進んだ中間地点の那須高原を「基点」と定めました。

「霊岸島」チーム、「塩釜」チームがそれぞれ60か所超ずつ、合計130ほどの水準点を街道沿いに設けたと見られます。平均約2.5kmに1か所の割合ですが、当然起伏や曲がり角も多数あるため、無数の補助水準点も置かれたはずです。ちなみに、両チームがそれぞれ導き出した那須高原の標高の誤差は、約79cmでした。

 GPSもレーザー測量機もない完全アナログの時代なので、1mにも満たない誤差は、逆にかなりの精度といえるでしょう。この誤差は、それぞれ約130か所の水準点のデータに按分して、誤差の縮小に努めました。

 この一大事業は「一等綱紀高低測量」と呼ばれ、1876(明治9)年8月から翌年8月まで約1年を費やしています。

 この時、明治政府は近代的な測量技術の取得のため、「お雇い外国人」としてイギリス人技術者を招き入れ、指導を受けています。そして、イギリス人技師達が持ち込んだのが、母国で使われていた「不」印だったのです。

「不」印は、半永久的に残りそうな場所である神社の鳥居や灯籠、寺院の石製の基礎部分、橋梁の門柱、里道標などを好んで選び、地面から垂直面(壁部分)に刻みました。

 測量方法は、10cm四方程度の小さな卓袱台(ちゃぶだい)のような金属製標尺台の一片を、「不」印の「一」部分に差し込み、もう一辺の側にある脚を、水準点に斜めに突っ張るように差し出し、台を水平にします。こうして台の上に小さな標尺(物差し)を載せ、測量を行います。

 この標尺台は、小さな「腰掛け」に似ていることから、「ベンチ」と呼ばれます。そして、これを固定する「不」マークが「ベンチマーク」で、日本語で「几号」と訳されました。製品の性能を調べたり、企業経営を判断したりする時の「基準」をベンチマークと呼びますが、実はこれが語源です。

【実は足もとに】明治時代からずっとある「不」印の数々(写真)

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