幻の「爆速&異形の核攻撃機」…なぜ“背中に穴”が? 平和国家が計画した「いろいろ予想外の戦闘機」その経緯とは

東西冷戦の時代、平和国家のイメージが強いスウェーデンで、核爆弾を搭載する攻撃機が計画されていました。アメリカの試作機F-107Aにそっくりな姿だったとされる、幻の機体「サーブ36」です。

攻撃機も核開発も放棄

 残された資料からは、サーブ36の開発が成功すれば、当時スウェーデン空軍で使われていたサーブ32ランセン攻撃機の任務は引き継がれるとされていました。しかし、開発費が高騰したため中止となり、スウェーデンも核兵器の独自開発と保有案を1960~70年代に放棄しました。

 核兵器自体はアメリカが1945年8月に広島と長崎へ投下して以降、実際に戦場で用いられてはいません。しかし、1940年代後半からしばらくの間は、軍は巨大な破壊力に着目し長距離ミサイルのみならず、1発で多数の爆撃機を撃墜すると期待された空対空兵器も開発されました。スウェーデンのサーブ36と核装備構想は、こうした世界的な潮流を当時受けたものだったのでしょう。

 また、サーブ36はエンジンにイギリスのブリストル(当時)が開発した「オリンパス」の装備を計画し、マッハ2以上の速度での飛行が考えられていました。実現すれば強力な攻撃力を持った機体になったであろうと思われます。

 スウェーデンは2024年3月、長年掲げた非軍事同盟からNATO(北大西洋条約機構)加盟へ政策を転換しました。ロシアによるウクライナ侵攻の影響によるものでしたが、この判断と同じように、スウェーデンがかつて核兵器に頼らず通常戦力による国土防衛を決めたのも、「核拡散」へ与しない理性的なものだったと筆者は考えます。

【写真】えっ…これが「核攻撃できる異形の戦闘機案」驚愕の全貌

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さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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