爆撃や破壊工作の危険も!?「空路不可」のウクライナへどう入る? 元米軍将校が体験した「ヤバすぎる12時間の過酷な鉄道旅」

戦時下のウクライナへの旅は危険と隣り合わせです。ただ、空路でウクライナに入国するのは、防空システムによって撃墜されるおそれがあるため不可能。主要ルートは鉄道になります。今回、過酷な鉄道旅をレポートします。

オンボロ列車で危険と隣り合わせのウクライナ国内へ

 ウクライナ国鉄の列車は、バリアフリーなんて言葉とは程遠い作りをしています。乗降口は、およそ使用者のことを考えているとは思えないほどに段差がキツく、お年寄りなどが助けを借りて乗り込む姿をよく見かけます。訴訟社会のアメリカに住んでいた身としては、考えられないような代物です。

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ヘウム駅での乗り換え。近代的なポーランド国鉄の車両(右の白い列車)に対して、いかにも古臭いウクライナ国鉄の車両(飯柴智亮撮影)

 列車はコンパートメント式の寝台列車ですが、寝台も上等とは言えません。列車同様に古いマットレスは硬く、特に二等車はひどいものです。

 飲食に関しては、車内に食堂車はなく、簡単なスナックを販売している程度です。なお、これらは車掌から購入します。ただ、カードが使えないため、ウクライナ通貨「フリヴニャ」の少額紙幣か硬貨などを用意しておく必要があります。

 一方で、客車には給湯器が設置されており、石炭をくべて温まったお湯はタダです。そのため、筆者はフリーズドライの食品やインスタントコーヒー、ティーパックなどを持ち込んでいます。

 また、ウクライナ国鉄は全列車禁煙ではあるのですが、そこは旧ソ連。抜け穴が存在します。車両の連結部に限って喫煙が黙認されています。ただ、騒音が激しく、揺れるため危険でもあります。冬にはマイナス25度に達するため、超低温の冷蔵庫のなかにいるようなものです。喫煙をしたければ自己責任で。何かあったとしても、ウクライナ国鉄は補償などしてくれません。

 とはいえ、最大の危険は、言うまでもなくロシアの攻撃です。鉄道の駅や車両に対する攻撃は、不定期・不規則に行われており、こればかりは避けようがありません。唯一の対策としては、線路の破壊に備えて後方の車両に乗るという方法がありますが、いざという時のためIFAK(個人用外傷応急処置キット)を必ず携行し、それを使いこなせるCLS(戦闘救護員)訓練を修了していることが望ましいでしょう。

 ワルシャワからキーウまで、国境審査の時間(ポーランド出国とウクライナ入国で、それぞれ1時間半程度)を含めて、おおよそ12時間で到着します。新幹線をはじめとする、日本の優れた鉄道インフラのありがたみを痛感するキツい旅になることは間違いないでしょう。

 もし興味があるのであれば止めはしませんが、ぜひ自己責任で。なお、日本の外務省はウクライナについて「退避勧告」を発しています。企業・団体の業務としてやむを得ない事情で渡航する場合は、「必要かつ十分な安全対策を準備」したうえで、外務省窓口に問い合わせるよう求めています。

【乗り心地サイアク!!】いまだ現役の「ソ連製列車」の車内です(画像)

Writer:

東京都出身。州立北ミシガン大学在学時に米陸軍予備役士官訓練部隊(ROTC)で訓練を受ける。1999年、米陸軍入隊。第82空挺師団に所属しOEF(不屈の自由作戦)に出征。2005年、少尉任官。ストライカー旅団などで勤務。2009年除隊。国際政治学修士。極真空手初段。

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