“地球133周分”533万キロを航行した「にっぽん丸」さらば! 小さなクルーズ船の大きな強みとは? 35年の歴史に幕
商船三井クルーズのクルーズ船「にっぽん丸」が2026年5月10日、約35年の歴史に幕を下ろしました。最後の営業航海を終え横浜港に到着し、多くのファンに見送られ引退セレモニーが開かれました。
最後の航海を終え横浜港へ
商船三井クルーズのクルーズ船「にっぽん丸」(2万2472総トン)が2026年5月10日朝、最後の営業航海を終え横浜港・大さん橋国際客船ターミナルに到着しました。そのまま、約35年にわたり活躍した同船の引退セレモニーが行われました。
多くのファンやクルーが見守る中、内田幸一船長は「『にっぽん丸』の就航以来、ここ横浜港から何度もお客さまと感動を分かち合える航海に出かけてきた。私にとって『にっぽん丸』での体験全てが宝物だ」と話しました。
大さん橋で開かれた「にっぽん丸」引退セレモニーに登壇した横浜市港湾局の新保康裕局長は「全国各地の港を巡り、寄港地の魅力やクルーズの価値を広く伝えてきた。その歩みは日本のクルーズの歴史で大きな足跡を残している」と称え、「幾度となく入出港を重ね、今日、横浜港・大さん橋が最後の寄港地となったことを感慨深く受け止めている」と述べました。
“小さな巨人”の35年
「にっぽん丸」は1990年9月に商船三井客船(現、商船三井クルーズ)のクルーズ船として就航しました。船名としては3代目に当たり、南米の移民航路をはじめ、戦後も途切れることなく客船事業を手掛け続けてきた商船三井の象徴的な存在と言えます。
建造ヤードは姉妹船の「ふじ丸」と同じ三菱重工業神戸造船所。竣工当時の船体色は白一色で、商船三井グループを表すオレンジ色の鮮やかなファンネルマークがひときわ目立っていました。通常のクルーズだけでなく、内閣府が行う国際交流事業「世界青年の船」や、日本遺族会が主催する太平洋戦争遺族の「洋上慰霊」といったチャータークルーズでも使用されており、多くの人に親しみを持たれていた船と言えるでしょう。
同船の大きな強みは、クルーズ船としてはコンパクトな船体を持つ日本籍船ということです。大型船では訪れにくい小規模な港への寄港できる特長を生かし、1泊2日のワンナイトクルーズや、スエズ運河、キール運河、パナマ運河を通る世界一周クルーズなど多種多様な航路に投入されました。国内だけでも北は北海道・利尻島、南は沖縄県・波照間島まで寄港しており、船内の通路には各港から贈られた記念盾がびっしりと飾られています。
20周年を迎えた2010年に大規模な改装工事が行われた際にカラーデザインが大きく変わり、白とロイヤルブルーをメインに赤色のラインが入った現在の姿となっています。この時に6階客室や7階のホライズンラウンジ、スパ&サロンなどを増設。丸窓のデザインが取り入れられました。
2020年には船内のWi-Fi環境を整備するとともに、オーシャンビュースィートや家族三世代向けのコンセプトルームをはじめ、バーやカフェを一新するなどの改装を行っており、「にっぽん丸」は時代に合わせて進化を続けてきました。




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