JR四国、ICカード拡げないの? 自動改札の“空白県”は解消されるも“利用不可” ここまで後ろ向きな事情とは?

自動改札機がない国内唯一の“空白県”が2026年6月13日、ついに解消されます。しかし、待ちに待った自動改札機も、鉄道会社の戦略で大都市圏では当たり前の「アレ」に対応していません。

IC無くても? JR四国が選んだ手法

 確かにJR四国のグループの2026年3月期連結決算(25年4月~26年3月)は本業の損益を示す営業損益が103億円の赤字で、慢性的な営業赤字を国からの支援などで穴埋めしています。このため、投資できる余力が限られているのです。

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徳島駅ビルの外観(大塚圭一郎撮影)

 現在導入している香川県の一部エリアは、ICカードを広く使えるJR西日本の岡山エリアから瀬戸大橋をまたいで高松を結ぶ快速「マリンライナー」などで訪れる利用者が多く、IC乗車券が使えないと駅での清算が面倒になります。よって、IC乗車券が使えるのは、予讃線の高松―多度津間の各駅と詫間、観音寺、観光客の利用が多い土讃線の善通寺、琴平、高徳線の栗林公園北口、栗林、屋島に限られています。

 ただし、JR四国も電子化に背を向け、紙の切符に執着しているというワケではありません。IC乗車券よりもはるかに安い設備投資で電子化できる方法として2022年11月にサービスを始めたのが、スマートフォン向けチケットアプリ「しこくスマートえきちゃん」(通称:スマえき)です。

 利用者は自分のスマホに「スマえき」のアプリをダウンロードして会員となり、クレジットカードなどを登録すれば切符を買うことができます。買った切符は画面にQRコードと乗車区間が表示され、有人改札では駅員に画面を見せ、自動改札機ではQRコードを小窓にかざせば通ることができます。

 IC乗車券で列車に乗る場合、入場時および出場時に自動改札機または簡易ICカード改札機にタッチをしなければ決済できません。これに対し、「スマえき」ならば有人改札でも画面を見せれば乗り降りできます。

「スマえき」は乗車券のほかに自由席特急券、通勤・通学定期、割引切符も買うことができ、有効期限が過ぎた切符は画面から自動的に消えます。

 筆者が駐在していたアメリカのニューヨーク都市圏のメトロノース鉄道や、ワシントン首都圏のメリーランド地域通勤鉄道(MARC)などは、同じようにスマホで切符を購入できるアプリを導入しています。

 このため、「スマえき」を英語などの多言語に対応した場合、瀬戸内国際芸術祭の人気などを追い風に四国でも大勢押し寄せているインバウンド(訪日客)にも使われるようになる余地があります。

 JR四国によると、「スマえき」の会員数は12万人を超えています。訪日客にも使いやすいように多言語対応をすれば、利用はさらに広がりそうです。アプリ名の由来の通り、四国でスマートに駅を通り抜けるツールとして広く定着させられるのか、JR四国の手腕が問われています。

【ICは拡げない?】これがJR四国の広める「代替手段」です(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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