日本じゃ当たり前の「ヨシ!!」を取り入れたW杯開催地の鉄道に乗った 日本語名称のまま世界に広がる?
サッカーW杯の開催地の一つ、カナダ・トロントの通勤列車では、日本の鉄道でおなじみの安全確認方法が採り入れられています。乗車して現場の様子を確かめました。
確かに「指さし確認」!
筆者はユニオン駅へ向かう復路の列車のダイヤを考慮し、ユニオンから5駅先のクラークソンで下車しました。駅の周辺にマンションや商業施設、一戸建てが林立している大都市近郊の住宅地という趣で、駅の端末でプレストをかざすと運賃は7.45カナダドル(約850円)でした。
プレストを使ったため紙の切符(8.85カナダドル)より15%安かったものの、26.8kmの運賃としては高く感じます。JR東日本中央線ならば新宿―立川(東京都立川市)間に匹敵する距離で、この区間は大人のIC乗車券利用で528円です。
折り返しの列車は帰宅する学生らが乗っていたものの、トロント中心部からの帰宅客でごった返す反対方向の列車に比べてはるかにすいています。37分後に到着したユニオンのプラットホームで、筆者は当初の目的を果たすべく乗務員がいる客車へと向かいました。
それは日本流の「指差喚呼(しさかんこ)」を見るためでした。
日本では20世紀前半に蒸気機関車(SL)の機関士が声に出して信号を確認し始めたのがきっかけとなり、指差喚呼が広がったとされます。鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)の実験では、指差喚呼をした場合に間違えた判断をするエラー率は0.38%となり、何もしない場合(2.38%)の6分の1弱に抑えられました。
メトロリンクスによると、GOトランジットの鉄道は新型コロナウイルス禍の2021年に日本の鉄道会社で普及している指差喚呼を客室に乗り込む乗務員向けに導入しました。GOトランジットの運行関係者が日本の鉄道について「世界で最も安全な交通網の一つだと考えられている」と注目し、休暇で訪日した際に東京と京都、大阪で車掌が指差喚呼をする様子を目の当たりにしたのをきっかけに採用しました。
「Shisa Kanko」と日本語の名称も紹介しているメトロリンクスの公開動画では、乗務員が駅のプラットホームで客車に向かって立つと「左よし」と声に出して左側を指さし、「右よし」と言いながら右側に指を向けてから扉を閉める様子を映しています。指差喚呼によって「より鋭敏に、より的確に行動できるようになった」という乗務員の声を紹介しています。
ユニオン駅のホームで複数の乗務員の動きを観察すると、確かにホームで左側、右側をそれぞれ指さした後に扉を閉めました。「左よし」と「右よし」の声は聞こえてこなかったので「指さし確認」と呼ぶのが正確かもしれませんが、しっかりと左右を確認する動作が定着していました。
サッカーのW杯で普段にも増して乗客でごった返す列車も出ている中で、「日本流」の安全確認が「Shisa Kanko(指差喚呼)」の呼び名とともに、地球の反対側で鉄道の安全輸送をしっかりと支えている様子を心強く思いました。




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