方針決定は2027春 終局を迎える「JR超赤字路線」結論先送り? “次”を模索する動きも
全国初の「再構築協議会」が設置されたJR西日本芸備線。沿線自治体やJRなどが存廃を含めた議論を始めていますが、その実態はどうなっているのでしょうか。今後を見据えた独自の動きも出ています。
「残りの区間」も失いかねない 芸備線問題の本質
近年、広島市役所はJR可部線延伸、広島電鉄広島駅直通、バス事業者の共同運営など公共交通に意欲的な取り組みを行い、JR西日本も新型227系273両の広島地区投入で500億円以上かけました。一方、広島県庁は、道路整備、広島空港の利用促進、クルーズ船誘致には熱心ですが、JR在来線については無関心です。
庄原市は2026年度予算でバスや乗り合いタクシーなど地域公共交通路線に3.1億円を計上しましたが、芸備線関係の予算はわずか0.2億円です。地域住民が「日常の移動手段」として鉄道を利用していない現実ゆえに、市政での優先順位が低いのでしょう。
べき論で言うなら、「JR西日本が芸備線を鉄道で存続すべき」なのでしょう。昭和末の国鉄改革を巡る議論があります。ローカル線へのノスタルジー、黒字の大企業へ複雑な思いを持つ人もいるでしょう。
ただ、利用者数が40年前の10分の1になったのに、当時の観点で超赤字路線の議論をすべきなのかという指摘もあります。今後20年で、生産年齢人口が都市部も含めて急減することを踏まえると、大都市路線や新幹線の黒字で地方の赤字を穴埋めする内部補助モデルでは長続きできません。
芸備線の将来を考えると、残りの広島~備後庄原間も安泰ではありません。
広島市内に位置する広島~下深川間の輸送密度は8829人と利用は比較的多く、昼でも毎時2往復運転されています。ただ、主力は鈍足の国鉄型車両キハ47で、所要時間はかかります。行き違い設備の増設、新車導入など改善すれば地域の発展に寄与する可能性はあります。兵庫県が姫新線高速化に税金を投じて利便性をアップさせた事例が参考になります。
そして下深川~三次の輸送密度は1001人、三次~備後庄原間で同370人。現状でも国鉄時代に廃線の基準となった同4000人という物差しを大幅に下回る危機的な状態です。広島県や庄原市が優先して考えるべきなのは、まだ利用がある芸備線備後庄原以西をどう残すのか、まちづくりにどう活用するのかだと思います。
北海道など他地区でも同じなのですが、JR各社をスケープゴートにして、結論を先送りしても状態は悪化するだけです。知事ら首長は「国がなんとかしてくれ」と主張しますが、誰も具体的に動かないから何も変わらない。鉄道輸送を充実させても選挙の票に繋がらないから消極的なのかもしれませんが、本当になんとかならないのでしょうか。
Writer: 森口誠之(鉄道ライター)
1972年奈良県生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程修了。国内全鉄道と海外80ヶ国以上を旅しながら鉄道史や資料調査に没頭する。主な著書に『鉄道未成線を歩く 国鉄編』『同 私鉄編』、『開封!鉄道秘史 未成線の謎』など。





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