外環道、新東名、東関東道…関東・甲信エリアの道路、開通予定は? 2017年度の事業概要(画像15枚)

2017年度、関東・甲信エリアではどのような道路がつくられるのでしょうか。現在工事が進んでいる、あるいは計画されている国のおもな道路事業を取りまとめました。

外環道の「千葉区間」、新東名の一部区間が開通

 2017年度の、国の道路整備事業はどのような内容が進んでいる、あるいは予定されているのでしょうか。国土交通省関東地方整備局が2017年3月31日に発表した資料に基づく、そのおもなものは以下のとおりです。

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圏央道と交わる東名高速の海老名JCT付近(2017年3月、中島洋平撮影)。

 おもな道路の事業計画は以下のとおりです。なお、未開通区間のIC名、JCT名などは仮称で、原則として事業中の区間のみ記載しています。一部、NEXCO中日本、NEXCO東日本、首都高速道路の資料に基づいて記述する箇所もあります。また、記事中の画像は特記以外、国土交通省関東地方整備局の資料より引用したものです。

外環道(東京都大田区~埼玉県川口市~千葉県市川市)

 東京の中心から半径約15kmの地域を結ぶ延長約85kmの環状道路です。北側区間にあたる大泉JCT(東京都練馬区)から三郷南IC(埼玉県三郷市)までの約34kmが開通しています。建設中の東名JCT~大泉JCT間はトンネル、三郷南IC~高谷JCT間は高架が主体の道路です。

・東名JCT~大泉JCT間(16.2km):道路設計、用地買収、トンネル工事などを実施。
・三郷南IC~高谷JCT間(16km):改良、舗装工事などを実施、2017年度開通予定。

圏央道(横浜市~茨城県坂東市~千葉県木更津市)

 都心からおよそ40~60kmの位置に計画された総延長300kmの道路です。2017年に茨城県区間が全線開通し、およそ9割が完成しました。現在、神奈川県内の釜利谷JCTから藤沢ICにかけてと、千葉県内の大栄JCTから松尾横芝ICにかけての区間が未開通です。

・釜利谷JCT~栄IC・JCT~戸塚IC間(8.9km):「高速横浜環状南線」として整備、2020年度開通予定。
・栄IC・JCT~藤沢IC間(7.5km):「横浜湘南道路」として整備、2020年度開通予定。
・大栄JCT~松尾横芝IC間(18.5km):調査設計、用地買収などを実施。

 なお、高速横浜環状南線、横浜湘南道路とも、2020年度開通は「土地収用法に基づく手続きによる用地取得等が速やかに完了する場合」との条件が付記されています。

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圏央道を含む首都圏における環状道路の整備概要。
外環道 東名JCT~大泉JCT間の概要。
外環道 三郷南IC~高谷JCT間(うち千葉県区間)の概要。

新東名高速(神奈川県海老名市~愛知県豊田市)

 東名高速と並行する高速道路です。御殿場JCTから豊田東JCTまでは開通しており、御殿場JCT以東の区間についても引き続き、NEXCO中日本が工事を進めています。

・海老名南JCT~厚木南IC間(約2km):2017年度開通予定。
・厚木南IC~伊勢原北IC間(約7km):2018年度開通予定。
・伊勢原北IC~秦野IC間(約13km):2020年度開通予定。
・秦野IC~御殿場ICT間(約32km):2020年度開通予定。

厚木秦野道路(神奈川県厚木市~同・秦野市)

 国道246号のバイパスとして、圏央道の圏央厚木ICから、新東名高速と連絡する伊勢原北IC、東名高速と連絡する秦野中井ICを経て、さらに新東名と連絡する秦野ICに至る29.1kmの道路です。

・圏央厚木IC~厚木北IC間(3.6km):調査設計、用地買収、橋梁(きょうりょう)下部工などを実施。
・伊勢原北IC北方~伊勢原西IC間(4.8m):調査設計、用地買収、橋梁下部工などを実施。
・伊勢原西IC~秦野中井IC間(5.2km):調査設計を実施。
・秦野IC付近(0.75km):調査設計、移設補償、橋梁下部工などを実施。

東関東道(千葉県市川市~茨城県水戸市)

 首都高湾岸線に接続し、千葉、茨城方面に延びる道路です。市川JCT~潮来IC間74.5kmと、北関東道に接続する茨城空港北IC~茨城町JCT間8.8kmが開通済みです。

・潮来IC~鉾田IC(30.9km):道路設計、用地買収、橋梁下部工事などを実施予定。
・鉾田IC~茨城空港北IC(8.8km):NEXCO東日本が工事を担当。2017年度開通予定。

国道17号 新大宮上尾道路(埼玉県さいたま市~同・鴻巣市)

 さいたま市中央区と鴻巣市を結ぶ計画延長約25kmの自動車専用道路です。首都高S5埼玉大宮線の与野JCTから北、上尾市までの区間について、首都高速道路と国土交通省関東地方整備局によって事業が進められます。国道17号「新大宮バイパス」「上尾道路」の上空につくられる計画です。

・与野JCT~上尾南IC間(8.0km):2017年3月末に首都高速道路が事業着手を発表。

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厚木秦野道路の概要。圏央道から左に延びる青い破線は新東名高速の建設予定ルート。
東関東道 潮来~茨城町JCT間の概要。
国道17号 新大宮上尾道路の概要。首都高速道路と国土交通省関東地方整備局が共同で整備を進める(国土地理院の地図を加工)。

国道140号 皆野秩父バイパス(埼玉県皆野町、秩父市)

 皆野寄居バイパスと国道299号をつなぐ延長4.9kmのバイパスで、西関東連絡道路(埼玉県深谷市~山梨県甲府市)の一部に位置付けられています。皆野大塚IC~秩父蒔田ICまでの4.0kmが開通しています。

・秩父蒔田IC~上蒔田交差点間(0.9km):2017年度開通予定。これにより皆野秩父バイパス全線が開通。

中部横断道(長野県小諸市~静岡県静岡市)

 上信越道と中央道、新東名高速を結ぶ延長約132kmの道路で、上信越道に接続する佐久小諸JCT~佐久南IC間約8km、中央道に接続する双葉JCT~六郷IC間約26kmが開通済みです。

・佐久南IC~八千穂高原IC間(約15km):橋梁および舗装工事を実施。2017年度開通予定。
・六郷IC~富沢IC間(約28km):橋梁、トンネル、舗装工事などを実施。うち六郷IC~下部温泉早川IC間約9.8kmは2018年度に、下部温泉早川IC~南部IC間約12.7kmは「トンネルの進捗が順調な場合」2019年度に、南部IC~富沢IC間約5.5kmも同じく「トンネルの進捗が順調な場合」2018年度に開通予定。
・富沢IC~新清水JCT間(約21km):NEXCO中日本が工事を担当、2018年度開通予定。

主要な一般国道、バイパスなどの開通予定

 このほか、主要な一般国道、バイパスなどの開通予定は、以下の通りです。

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国道140号 皆野秩父バイパスの概要。
中部横断道の概要。
国道17号 上尾道路の概要。

・国道357号 東京湾岸道路:神奈川、東京、千葉の湾岸を結ぶ延長約80kmの一般国道で、大部分において首都高湾岸線および東関東道に並行。現在、この開通部分は川や海などをはさみ途切れ途切れになっている。2017年度はこのうち、川崎浮島と羽田空港を結ぶ多摩川トンネル2.0km、大井ふ頭と台場を結ぶ東京港トンネルの東行き1.9km(西行きは開通済み)、千葉県浦安市の「舞浜立体」、船橋市域の0.5kmについて設計や工事が進められる。東京港トンネル東行きは2018年度開通の予定。

・国道17号 上尾道路(埼玉県さいたま市~鴻巣市):国道17号のバイパスで、起点である国道16号との接続点から圏央道 桶川北本IC付近までの11kmが開通済み。残り9.1kmの区間について、2017年度は道路設計、用地買収などが進められる。

・国道4号 東埼玉道路(埼玉県八潮市~春日部市):延長17.6kmのうち、八潮市から越谷レイクタウンを経て吉川市までの5.7kmが開通済み。その先、新4号バイパスに接続する春日部市までの8.7kmについて、2017年度は道路設計、用地買収などが進められる。

・国道20号 日野バイパス延伸部(東京都日野市、八王子市):国立市から八王子市に至る国道20号 日野バイパス(本線)から分岐し、日野市と八王子市をつなぐ部分5.3kmが事業化されている。このうち日野市西平山から八王子市北野町までの1.5kmについて、2017年度から測量や道路設計が進められる。

・国道4号 西那須野道路(栃木県那須塩原市):旧西那須野町の市街地区間をバイパスする4.6kmの道路で、一部は既設の市道を拡幅する形で整備。2017年度は道路設計、用地買収などが進められる。

・国道50号 前橋笠懸道路(群馬県前橋市、みどり市):国道50号で唯一の2車線区間における交通渋滞の緩和などを目的としたバイパス事業で、延長は12.5km。現道拡幅部と新設部とで構成される。2017年度は前橋市内の現道拡幅部0.9kmと、伊勢崎市内の新設部4.0kmについて、道路設計や用地買収が進められる。

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国道4号 東埼玉道路の概要。
国道20号 日野バイパスの概要。
国道50号 前橋笠懸道路の概要。

・国道18号 野尻バイパス(長野県信濃町):延長8.7kmのバイパス事業で、上信越道 信濃町IC付近の3.3kmが開通済み。2017年度には新たに信濃町古間の1.0km区間が開通する予定。

・国道20号 下諏訪岡谷バイパス(長野県下諏訪町、岡谷市):下諏訪および岡谷市街地の交通混雑緩和などを目的とした5.4kmのバイパスで、うち国道142号湖北トンネル南から長野道 岡谷ICに至る2.9kmが開通済み。2017年度にはさらに岡谷IC南側の0.8km区間が開通するほか、下諏訪町から岡谷市にかけての1.7kmについても道路設計や用地買収が進められる。

 なお、2017年度における関東地方整備局の予算総額は約1兆8970億円で、うち約3392億円が道路関係予算として投入される予定です。

【了】

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5件のコメント

  1. 何で圏央道の久喜白岡JCT以東の4車線化は入っていないの?
    あそこの渋滞は深刻だからそこを優先的に整備した方が良い。
    中部横断自動車道は清水〜甲府は早く接続して中央道の補修対策を練った方が良い。
    他にも色々あるが国道357号は浮島〜大黒ふ頭まではやっておいた方が良いかも。

  2. >>・国道50号 前橋笠懸道路(群馬県前橋市、みどり市):国道50号で唯一の2車線区間における交通渋滞の緩和などを目的としたバイパス事業

    茨城県内の50号線は片側1車線の区間が大半なんだけど?
    特に筑西市内の渋滞が酷くて通過に物凄い時間が掛かる(怒)

  3. 2020年度までに新東名の御殿場までつながるの?

  4. 圏央道がほとんど開通し、外環道の開通の目処もついてきたところで、今一度、既存の放射方向の高速道路についても、改良や拡幅の検討をしていただけないか。
    環状高速の開通により、東京都心を通過する車は減ったが、首都圏全体で見てインターチェンジが増え、高速道路の利用者は増えたために、特に圏央道より外側の放射方向の高速道路で通行台数が増え、日曜日の夕方の上り方向の渋滞が酷くなっている。新東名が開通する東海道沿いは大和トンネル周辺以外は改善されるが、中央道の上野原以東、関越道の藤岡ジャンクション以南などは、今後、拡幅も視野に入れて取り組むべきだと思う。

  5. ETC料金所ですが、ETCバーの撤去は必要ですが、通過速度をUPする。ETCレーンの通過制限速度が20Kmというのは問題。実際に20Km以下に速度を落として通過する車両が多く料金所での追突事故の原因になりかねない。またETCレーンが本線上からずれている点を改善してほしい。数レーンある道路のETC通過レーンを道路(車線)中央に設置しないのか。なぜかETCのレーンは道路の右側・左側にかたよっている。