だから日本は「自国にエネルギーを運ぶ船」を作れなくなった――経済の急所LNG船 国内建造再開への高い壁 「この7年間、何もできていない」
日本の造船所で7年間途絶えているLNG船の建造。再開に向けた機運が高まるなか、日本船主協会の長澤会長は、世界標準となっている型に日本が合わせる必要があるという認識を示しました。
“世界の潮流”に乗れるのか?
「メンブレンとモスの一番大きな経済的な差は、運河の通航料が全然違うというところがある。メンブレンの方が安く、世界中のトレーダーがメンブレンを選んでいる。サイズも17万立方メートルから20万立方メートルぐらいになるため、その潮流を外れたものを作ったところで、全く使い物にならない。今回もクリアに『メンブレン』ということで、韓国との連携も踏まえてやっていくということになるのではないか」(長澤会長)
日本の造船所もメンブレン型のLNG船を建造した経験はあるものの、採算が合わず少数にとどまっています。IHIとJMU(ジャパンマリンユナイテッド)は独自にSPB(自立角形)タンクを開発しましたが、実際の建造で巨額の損失を出し、JMUは同方式の大型LNG船建造から撤退しました。
長澤会長は「日本の造船業はLNG船に関して競争力を失っていったということだと思う。メンブレンは労働集約的。この部分で韓国に大きな差をつけられて、いわゆる国際競争力のある価格を提示できなくなった」とLNG船の建造が途絶えた理由を語ります。
「今でも日本の海運会社はLNG船の運航に関しては、相当高い地位を占めており、現在も発注はしている。韓国・中国に対して発注する意欲はあっても、それに日本の造船所はなかなか応えきれなかった。それは品質の面と、やはり価格の面で応えられなかった。これがクリアできれば、当然発注を行う」
LNG船の新造船価は17万4000立方メートル級で2億5000万ドル前後を推移しています。しかし、日本の場合はLNG船のサプライチェーンが途絶しており、再び立ち上げるには初期投資コストがかかり、船価は高めになるでしょう。
それに加えて設計・建造双方で、専門的な作業を必要とするため、そのための人材育成が1000人規模で必要です。果たして再び日本でLNG船が建造できるのか、まだ不透明な状況となっています。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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