高速道路から出撃し、回避不能のミサイルを放つ!「グリペン」戦闘機はウクライナの“空の守護神”となれるか?
スウェーデンは退役する「グリペンC」のウクライナ供与を発表しました。注目すべきは同機が運用する長射程・高機動の空対空ミサイルの存在です。
「撃たれる側」から「撃ち返す側」へ
現在、ロシア空軍でこれに匹敵する兵装として知られるのがR-37M長距離空対空ミサイルで、MiG-31やSu-35が搭載します。これまでウクライナ空軍はその脅威に長く苦しめられてきたと推測でき、R-37Mの存在によってウクライナ機は前線への接近を制限され、航空支援や迎撃任務にも少なからぬ影響を受けてきたと考えられます。
「グリペン」と「ミーティア」の組み合わせは、この状況に一石を投じる可能性を秘めています。理論上はR-37Mと同等、あるいは終末性能ではそれ以上の交戦能力を備えており、ロシア軍機も従来のように安全圏から一方的に長距離攻撃を行うことが難しくなるかもしれません。
ウクライナ側が「撃たれる側」から「撃ち返す側」へと転換する機会を得る意味は決して小さくはないでしょう。ロシア空軍がこれまでのように自由な飛行経路や作戦高度を選べなくなれば、その分だけ前線での航空支援や滑空爆弾による攻撃も制約を受けることになります。
もっとも、今回の「グリペン」供与だけで戦局が劇的に変化することは考えにくいと言えます。供与される機数は第1段階としてまず16機と限定的であり、2030年からは「グリペンE」の導入も始まりますが、航空優勢そのものを覆すには至らないでしょう。
また、多機種運用となるウクライナ空軍は、MiG-29、Su-27、Su-25、Su-24といった旧ソ連機やF-16、「ミラージュ2000」、「グリペン」という異なる兵站体系を維持しなければならず、整備・教育・補給面で新たな負担が生じるという課題も無視できません。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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