核ミサイル、迎撃したらどうなる? 過去事例から考えられる実際のところとは

核爆発しなくても実に迷惑な核弾頭、スペインでの事例

 核爆発の危険性はなくとも、迎撃によって破壊された弾頭はもちろん、核物質を含む破片となって地表へ落下することになります。したがって、迎撃してもなお依然として放射能汚染を引き起こす、「汚い爆弾」であり続けることになります。

 1966(昭和41)年1月17日にスペイン上空で発生した、アメリカ空軍B-52戦略爆撃機とKC-135空中給油機の空中衝突事故では、B-52に搭載されていた4個の核爆弾が落下しました。そのうち2個でインプロージョン用の火薬が炸裂し、核物質を飛散させ(核爆発は未発生)、その結果2万2000平方メートルの土壌を除去、かつ17万平方メートルの土壌について表層と深層を入れ替えるクリーンナップ作業が行われました。

 北朝鮮の核弾頭を、たとえば日本の国土上空で迎撃した場合も、スペインでの事例と同じように、地表に落下した弾頭を取り除く作業が行われることになるでしょう。迎撃に成功したあともなお、国は数日から数週間の外出自粛の呼びかけを行うはずです。その際は流言飛語に惑わされず、正しい情報を得たうえでこれに従うことが、その後の放射線障害を防ぐために重要となります。

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弾道弾迎撃ミサイルSM-3を発射する海上自衛隊の「こんごう」。写真は演習の際のもの(画像:アメリカ海軍)。

 以上のように、たとえ迎撃に成功したとしても、核兵器による被害をゼロにすることは極めて困難であるのが実情です。しかしながら核兵器による死傷者のほとんどは、核爆発によって生じた熱線や爆風、破片、火災、放射線の急性被曝を原因とします。1945(昭和20)年の広島に対する原爆投下では、年末までに14万人が死亡しました。弾道ミサイルの迎撃はこれをゼロにすることもできるのですから、十分に大きな意義があると言えるでしょう。

【了】

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コメント

5件のコメント

  1. 試験の命中率が実戦で反映されると期待しない方が良い。また、放射性廃棄物弾頭による攻撃の場合、逆効果になりかねない。

  2. アニメでヒーローがミサイルに飛んで追い付いて乗り込んで器機を操作して方向を変えて危機を脱するなんての見たが、さすがに乗り物とは思えないのだが、最近の状勢から仕方のない記事なのかも?

    • 巡航ミサイルなら有り得るけど弾道ミサイルって進行方向を変えたりできるんだろうか、

  3. 弾頭そのものに超高速、超高温でも耐えられる誘導装置と操縦機能を組み込めば、終末精密誘導は可能なんでしょうが(例、パーシング2、旧ソ連の潜水艦発射対艦弾道ミサイル、など)、外部からの操縦となると・・・厳しいな。まだ直接壊した方が楽。

  4. ミッドコースでは汚染が大気圏外だが、大気圏離脱・突入段階では高高度から汚染物質が舞落ちる。再突入段階での迎撃は、自国上空汚染付の最終手段。